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#スイーツ男子の本音はショートケーキの様に誰からも愛されたい③
その時、廊下から音がした気がして自然と体が反応し唇が重なる直前でストップした。ハッと我にかえったように距離をとって離れた明希。その瞬間、ドアノブが下がって扉が開いた。
「ちょっと暖!雨降ってるんだから洗濯物っ、、!あっ明希くんいらっしゃい」
「おばさん、お邪魔してます」
「ごめんなさいね、ノックもせずに」
『んー…あれ?母さんもう帰って来たの?』
突然部屋内に響いた甲高い声に暖は目をあけて状況を確認しながら言った。明希は立ち上がり窓を開けると外はザーザー降りの雨で強い音と独特な匂いがしていた。
「あー雨ふっとったんですね。全然気づかんかったです。洗濯物びしょ濡れですかねー!?」
「あ〜大丈夫よ。気付かないくらい勉強に集中してたのね!関心だわ」
突然の豪雨にサッカーの応援から帰ってきた母親に明希は何かをごまかすように早い口調で話し始める。
いつの間にか眠ってしまったと気付いた暖は黒くなったテレビの画面を見つめていた。
「そうだ明希くん、勉強終わって良かったら晩ご飯食べて行かない?」
「ええんですか!?じゃ頂いて帰ります」
母親は上機嫌で指でオッケーとしながら部屋を出て行った。再び2人きりになって相変わらず強く降る雨の音を消すように窓を閉める明希。
『お母さん明希の事気に入ってるから、いつもよりテンション高いよ』
「それは嬉しいな。俺もおばさんのこと好きやで」
『そうだ、明希ごめん。映画途中で寝ちゃってたね。最後まで見終わった?』
「ほんまやで。暖が寝とったから途中で止めたんや」
『そっか。じゃあ続き見ようっと』
リモコンを取って再生ボタンを押すと明希が止めた続きのベッドシーンが流れ始めて二人は同時に画面を凝視した。なまめかしい声だけが漏れているシーンに明希は"あーー!"と停止ボタンを慌てながら押す。
「えー…いや思っとんたんより過激な映画やなぁ!!」
『あー…うんそうだね、、明希…大丈夫?汗かいてるけど部屋暑い?』
「大丈夫やっ。もう映画は終わり!続きやるで」
雨でむしろ涼しい気温なのに明希の額にはじんわり汗が。眠っている間の事は何も知らない暖は問いかけるが軽くあしらわれた。テーブルにある気が抜けたコーラや半分残ったクッキーを素早く片付ける床の教科書を並べてスパルタ授業は再開された。
しかしさっきまで真横にいた明希は正面に座って参考書を開き目も合わせないで、次々と問題を解いていく。"変なの"と思いながらも暖も問題につまずきながら勉強を進めた。
結局、それ以上再生することなかった映画は結局レンタル期限内で暖一人で見ることにし夜7時キリのいいところで勉強終わらせた。
ちょうどいい具合にお腹も減った二人はキッチンに降りると既にテーブルに用意されていた晩ご飯。陽も2階から降りてきて椅子に座ると"いただきます!"と手を合わせ食べ始めた。
「ポジションどこだったんですか?」
「俺はフォワードやってたで。陽くんは?」
「ミッドフィルダーです!」
しばらく向かい合った席で盛り上がる明希と陽。明希も小学生から高校1年までサッカー少年だった。サッカーを全く知らない暖は入る隙もなく知らない専門用語を聴きながら、つまらなそうに箸を進める。
「それにしても明希くんみたいな子が暖と仲良くしてくれて嬉しいわ。ほら、この子あんまり友達とかできないタイプでしょ?迷惑かけてない?」
「そうですよ。兄貴みたいなのと一緒にいてもつまんなくないですか?」
「いえ、暖はおもろいし何だかんだで一番気が合いますよ。まぁ、1つ言うとしたらもう少し勉強頑張ってくれたらええんですけどね」
三人は暖の方を笑っているが、暖はそんな三人を見てふてくされながら食べ物を口に運ぶ。すっかり家族に溶け込んでいる明希はそんな暖を愛しい眼差しで見ていた。
「そう言えばこないだ家に遊びに来た予備校の子いたじゃない!?ほらっ暖、顔の綺麗な男の子名前なんだっけ?」
いきなり母親が口にしたあの日の事。もちろん明希も知ってる子だと思って話しているんだろうけどここであの話は相当まずい。
「家に来た予備校の子、、?誰の話や?」
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