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#スイーツ男子の本音はショートケーキの様に誰からも愛されたい④

 『えっとー…そうだ陽!サッカーの試合どうだったんだっけ?勝った!?負けた?』  「はっ?だから雨で中止になったっつってんじゃん」  『あーー!そっかそうだった!、、梅雨だからねっ!やだよね梅雨は!お母さん、これすごく美味しいよーこんな料理が食べれて幸せだなぁ』  いつものおっとり口調はどこへやら。突然饒舌に喋り始めた暖に何事かと見ている。勢い余って、ポロポロと口からこぼれ落ちる米粒を下で愛猫が突っついていた。  「暖、、どないしたんや?めっちゃご飯こぼしとるし。とりあえず落ち着けって」  『何が?べっ、別に落ち着いてるよ!』  「この子最近おかしいのよね〜」  「まー兄貴がおかしいのは昔からで今に始まったことじゃないけど」  何とか彼の話題を逸らす成功した。あまりに自然に話題にするから焦ったけど深堀されずに済んだ。家族にはもちろんだけど、特にあの騒動を知っている明希には彼の存在を絶対に知られたくなかった。    「ほなごちそうさまでした」  「全然いいのよ、またいつでも来てね」  「明希さん、今度一緒にサッカーしましょうね!」  「ええな約束やで。楽しみにしてる」  『あー…ちょっと明希を駅まで送ってくるよ。鍵開けたままにしてて』  僕の方には、一切目もくれず明希を見送る二人には声は聞こえていないようだ。陽も僕には向けることのない笑顔をたった一時間間半の食事で何度見たか。僕なんかが兄で申し訳ない、、きっと明希みたいな兄がいたら嬉しかったんだろうなぁ。 なんて考えながら玄関を出た。  「別にええのに、見送りなんかせんでも」  『まだ少し雨降ってるし、明希傘持ってきてないでしょ?』  「俺、傘持つわ」    外に出ると雨はだいぶ止んで小雨になっていた。大きめの透明傘を広げて明希が取手を握った。少しだけ肌寒い6月の梅雨の雨は距離を縮める。  『勉強あまり進まなかったね、途中で寝ちゃったりしたし、、ごめんね』  「なんで謝んねん。こっちはご飯までご馳走してもろたし。なんか久しぶりに家族団欒ていうの味えて楽しかったで。ああゆうの一人暮らしだとないからな」  『実家大阪だもんね、遠いね。たまには家族に会いたくなったりしない?』  「まぁでも自分で決めてこっちにきたんやし、大学受かるまでは帰られへんわ」  『浪人生に休みなんてないし夏休みも関係ないから帰省もお預け?』  「……でも俺は別に寂しくないで。こうやって暖とおれるし、、東京の生活も悪くないと思うてる」  駅までの数分の道を相合傘で歩く。明希とは4月に予備校で知り合いまだ三ヶ月程の仲だけど、きっと慣れない東京生活と受験勉強で精一杯なはず。それでも学校もバイトも休まず、いつも明るい明希には尊敬しかない。    『着いた!上りの電車2分後に来るって急いで!』  「おう、見送りありがとな。ほなまた月曜日学校で!あっ、DVD観たら返却しといてや、でないと俺が延滞金とられるんやからなー」  『わかってるってば!気をつけてーバイバイ』  なんかちょっと明希の様子が違って見えた気がしたけど、あんな性格の明希でも家族が恋しくなったりするんだろうな。 そんなことを考えながら小走りで走る明希の後ろ姿が見えなくなるまで改札前に立ち尽くしていた。雨はほぼ止み傘がいらない程になっていた。  「ふーん、アレが君の彼氏?」  『えっっ!?』  その時暗闇からかすかに聞こえた聞き覚えのある声。小さな街頭がかすかに灯ってる駅横の薄暗い道を、恐る恐る目を凝らして声のする方へ近づいて見る。  真っ黒なバイクに跨ってスピードメーターに肘をついている金色ピンク髪の間違いなく彼の姿だった。  『あっ、なんでここにいるんですか!?』  「君はああゆうスポーツ系のワイルドタイプが好みなんだ」  『ちょっ何の話ですか!?明希はただの学校の友達です!』  「でも目が恋してたけど」  『何言ってるんですか?恋とかそういう関係じゃありませんから!』  「いや君じゃなくてあっちの子の方」  『辞めて下さい!明希はあなたとは違います』  「、、それどうゆう意味?」  『あっ、、すいません…そういう偏見のつもりで言ったんじゃなくて!』  とりわけ同性愛に批判でも固定でもない。それ以前に自分は踏み込めない無関係な世界過ぎてそういう思考にもならなかった。だけどさすがに今の言葉はさすがに彼を傷つけてしまったか。  彼は神妙な顔つきでゆっくりバイクを降りこっちに近づいてくる。怒っているのか悲しんでいるのか1歩ずつ近づく距離に彼の心境を読み取ろうとした。 だけどやはり彼の顔を見るとその宝石のような煌めく瞳に吸い込まれそうになる。

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