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#スイーツ男子のお仕事はチョコミントアイスの冷たさと刺激と賛否の交わり④

 「修一(しゅういち)叔父さん!」  店前でバイクのエンジンを止め手を挙げて声を出した。ガラス越しに見える先には、肩までのウェーブヘアーを揺らしながら仕事している男。大我の姿気づいてこちらを見て近づいてくる。  「お!大我来たなっ。えっと今日はオイル交換だっけ?」  「うん、そう。お願い」  「まぁ入れよ。おーい!このバイクのオイル交換頼む、ついでにオイルフィルターも見ておいてくれ」  "わりました"と後から返事が聞こえバタバタせわしなく動くスタッフと店内を見渡す大我。バイク屋の独特な匂いに包まれたこの店にはもう何度も通っている。 「あれ?また従業員増えてる?」  「おかげさまで店も繁盛しててな、人手不足で一気に雇ったんだよ。見ての通り男だらけのむさ苦しい職場だけどな」  「女っ気が欲しいなら紹介しよっか?給料弾んでくれるなら働いてもいいって子いなくもないと思うけど」  「何言ってんだよっ!こっちはまだまだ現役だぞ。甥っ子の手を借りるほど困っちゃいませんよっ!あー、交換し終わるまで30分ぐらいかかるから隣の部屋でゆっくりしてけよ。時間はあるだろ?」  「うん、俺も叔父さんに話があるし」  そう言って奥の待合室に入った。入るや早々に 冷蔵庫を開けて中を覗くのは、このバイクショップの経営者でもあり大我の母親の兄、つまり叔父にあたる水島修一(みずしましゅういち)。 ジーパンと革ジャンと言ういかにもライダーらしい身なりのイケてるオヤジで、大我も先輩のようでもあり友達のような感覚で尊敬し慕っている。  窓から見える店内の様子に椅子に座り視線を向けた。誰かを探してるような素振りの大我の顔の前に冷えたペットボトルが現れ、視界を遮られハッと驚き振り向き修一を見た。    「すまんな、お茶ぐらいしかなくて。ジュースよりかはいいだろ?」  「あーいいよ。ありがとう」  「何見てたんだ?……マコトか?」  「、、うん。まぁ」  「安心しろ、マコトの奴ならもう来てないよ。まぁ来なくなったのは別に最近のことじゃない。大我と配信始めて有名になってから休みがちだったし、金ならあるしもう行かなくてもいいと思ったんだろ。だからもうここは辞めたよ」  「そっか、、何かごめん」 「別に大我が謝ることねーだろ。でも元気そうでよかったよ!いろんな意味で」  ゴクゴクと冷たいお茶で喉を潤す大我。 一緒に動画配信していたマコトと初めて会ったのもこの部屋だった。この店でメカニックとして働いていたマコトとは大我が初めてこのバイクショップに来た時、まさに今この状況と同じように冷蔵庫から冷たい飲み物を受け取った事から始まった。  そこから来るたびに話をするようになり、一緒に配信をするまでの仲になった。最初は外で買い物したり飲食店で食事するようなよくある配信をするだけだった。  途中からは恋人として距離が近づき2人部屋での日常を更新するようになった。それが意外に好評で次第にフォロワー数が増え、更新回数も増やしていくと動画も多くの人に見られるようになっていった。  「叔父さん、心配かけてごめん。でもこの通り別にダメージも何も受けてないから。おじさん知ってるでしょ、僕の性格」  「アッハッハ!そうだったな。鋼のメンタルだもんな大我は!そういうとこ晴美にそっくりだよ」  「母さんに?確かにそうかも。年取ってきたからかな〜昔はもっとナイーブな子供だったのに」  「それ自分で言うか!?そうだそれより大我、話したいことってなんだよ?」

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