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#スイーツ男子のお仕事はチョコミントアイスの冷たさと刺激と賛否の交わり⑦

 「それじゃカメラテストするからあっちのソファー座って!そうだな〜左側がいいかな」     カメラのレンズを覗き込んで、いい位置やアングルを確かめる。モニターに写る暖は大仏のように固まって無表情。つい見ながらつい笑ってしまった大我。  「ねぇ、顔引き攣ってるよ!大丈夫?」  『だ、だっ、大丈夫!……どうせ顔は映らないし』  「まぁそれもそうだけど。そう!ケーキ食べてた時のような顔して見せてよっ!いい顔だったから」  『そんな無理言わないでよ。無意識に出た顔なんてできないよ、、役者でもあるまいし』  「だよねゴメン。よしテスト終わり!それじゃ始めよっか」  「はぁ……緊張する、、そうだ!帽子とマスクしなきゃ!!」  持参したマスクと帽子を取り出し身につける。せっかくオシャレな洋服を新調してもらったが首から上はしっかりガード。自分をよく見せたいのか見て欲しくないのかよくわからない矛盾したNATSUと言う人物が完成した。  4人ほど座れるソファーの真ん中に肩がくっつくほど距離近く並ぶ。間違いなく目の前のカメラは二人だけを捉えていて"偽の恋人"がスタートした。  「今日は数日前の報告動画の続きとして動画を回しています」 そう開口一番ゆっくり真面目なトーンで話始めた大我。  「しばらく配信を休んでごめんなさい。知ってる方も多いと思いますが、色々ありマコトとはお別れしまして勝手ながら配信は終えました」  深く真をついた理由までは掘り下げず話を続けていく。それは別れに追い込んだ隣にいる当事者の暖を思っての事かはわからない。 そして今までの感謝を伝えると共にこれからについて語りだす。  「そして報告したい事というのが新しい恋人が出来ました。これからはその恋人と引き続き配信をしていくつもりなので今日は彼を紹介したいと思います」  大我が隣にいる暖を視線を向けると俯いていた顔を上げて、わずかに帽子から覗く目を合わせてカメラを向いた。  『、、NATSUです。これからよろしくお願いします!』 その一言だけ強い口調で言った。膝の上に置いた手は震えていてたった一言でも一生懸命奮い立たせて発した言葉だとわかって、大我はその手を握った。  「観てくれるみんなの中には色んな意見があると思いますが今の二人を見守ってくれると嬉しいです。見ての通りNATSUは顔出ししません。なのでそれに対する詮索やコメント等はしないようにお願いします」  大我の握った手と言葉から優しさを感じて偽のビジネスカップルだとしても暖はそれが素直に嬉しかった。 それからは少しくだけた感じで今後の配信スタイルなどの話を数分していき最後の締めのコメントになった。  「休止の間待っていてくれたみんなありがとう。これから俺とNATSUの配信を楽しんで下さい。きっと楽しい配信になると思うから期待してね。それじゃまたね!」  そして立ち上がってカメラのRECボタンを止めた。"お疲れ"と笑顔の大我を見て大きく息をはいて緊張感から解放された暖はソファーに倒れこむと帽子がコトンっと床に落ちた。  『ああぁぁ、、緊張感した』  「暖、よかったよ」  『一言しか喋ってないけど……あんなのでよかったの?』  「みんなの反応がわからないうちは、無難に当たり障りないのが一番だからね」  『そっか、、けど観てる人達の反応怖いな』  なぜだろう。SNSにスイーツを載せていた時は観てる人の反応が楽しみで仕方がなかったのに、今はなるべく反応がない方が安心するなんて変だ。  「何が怖いの?」 大我が照明の電源を落とし締め切っていた窓を開けながら言った。薄暗くなった空がオレンジ色に染まって窓から差した西日が暖の顔にかかる。  『やっぱりその……前のマコトって人を好きな人多いと思うし、、僕こうゆう世界は初めてだし観てる人を楽しませらせるような人間じゃないし……』  「ほら〜始まった!口癖の"自分なんて"ってやつ」  『いやホントにっ!考え直すなら今のうちだと思う!!』  「そんな事しないよ」  大我はゆっくりソファー近寄り床に落ちた帽子を拾った。かかんで顔を近づけると少し乱れた暖の前髪を手櫛で撫でるように直してそのまま下に降りた手は顎に添えられた。  『何かあったら絶対俺が暖を守るよ、約束する』

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