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#スイーツ男子のお仕事はチョコミントアイスの冷たさと刺激と賛否の交わり⑩

 「はようー!走れ〜」   『ちょ、、っ待ってよ!ハァ、ハァ、、なんでッそんなに急ぐの!?』    「おっ、ここや!うわっやっぱり並んどるけど思うてたよりはまだマシか」  息を切らしてやっと明希に追いついた暖は突然の誘いに訳も分からず腕を引かれてついていくしかなかった。  授業のコマ数が少なく、いつもより早く学校出た暖と明希はテレビや雑誌によく取り上げられている人気カフェの列の最後尾にいた。  『えっ?何でカフェ?』  「なんか最近もの足らんと思うたらしばらく一緒に来てなかったやろ?」  『そうだけどー…でも明希は嫌々付き合ってただけでしょ』  「そんなことないで。誘われんとそれはそれで悲しいもんや」  "次の方、中どうぞ"と定員に誘導されたのは30分後。普段なら絶対待つのを嫌う明希が自ら並ぶの覚悟で来るなんて。 席に座ってテーブル横に立てかかったメニュー表を取り出し振り返って手を上げ店員に合図をした。  "ご注文お伺いします"と店員が来ると表紙の写真を指差して"これ2つ"と答えた明希。ほんの10秒ほどで注文は終わった。  『あっ!僕まだ選んでないのに』  「これが人気ってテレビで言っとったからこれでやろ。でな今日は別に食いにきたんが目的じゃ無いねん」  「んで?聞いたるわ」  『……ん?』  「ん?やないやろ。何か悩みとか考え事とか困ってることとか、、、いやそれ全部同じ意味か」  『何で突然?別に悩みなんてないよ、、なんかそういう風に見えた?』  特に悩んでいると言うわけではない。ただ急速に見ている世界が変わって心身ともに追いついていないだけ。それが側からから見たら心配されるよな言動になっているんだろう。  「ほんまか?まー…何もないならええけど。あっそうや!夏季講習どないする?もちろん全部の教科取るやろ?」  『あー…うんそうしたいけどお金かかるし、一部の教科だけだけにしようかなって、、とりあえず帰ってお母さんに話すけどさ』  「んーそうか、しゃーないよな。安い金額ちゃうし。一緒に受けれたら嬉しいけどな!かと言うてバイトしようとか考えたらアカンで。そんなんしたら、ますます勉強どころやなくなるやろ」  ちょうど水を飲んたタイミングでそんなこと言うから"ゔっ!"と喉に詰まらせてむせて咳払いをした。    「大丈夫かっ!?」  『、、っバイトなんてっしないよっ!』  一瞬何となく勘ぐられたかと思って変に動揺してしまった。明希の性格上もし万が一動画を見て知っていたとしても、遠回しではなく必ず直球に行ってくるはず。      "お待たせいたしました!トリプルふわふわスフレパンケーキです"とずっしり分厚い3枚重なったパンケーキが目の前に置かれて、そのボリュームに目をまん丸くして思わず見開いた暖。  「すごいやろ、これがこの店の話題やねんて」  『わ〜!こんなに厚みがあるのに3枚もっ!、、食べきれるかなぁ?』  「何言うてんねん、今まで散々食べに来とったやろ。今更かわい子ぶっても遅いでっ」  『スイーツは好きだけど大食いな訳じゃないもん。でも、、食べられそう!いただきま…』  「ちょっと待った!」  右手に持ったナイフに明希の手が重なって食べるのを阻止された。疑問の表情を投げかけるとパンケーキの隣に置いた暖のスマホを手に取った明希。  『えっっっ!何っ!?』  「食べる前に何か忘れてるやん」  そう言って、パシャパシャとスマホのカメラで連写を始めた明希の行動に驚いていると、しばらくして撮った写真を見返して満足げにしている。  「これぐらいでええか。いまいち撮り方がわからへんな」  『ねぇ何してるの?』  「、、あの件以降SNSも止めたままやし本当はまたやりたいんやろ?ならやったらええ、もう火種は消えとるし」  明希はスマホを元の位置に戻し、フォークとナイフを握ってパンケーキを食べ始めた。"うまいやん"と珍しく褒めながら。  ()しくも原因となったあの投稿に載せた写真もまさにパンケーキだった。深読みしすぎかもしれないけど、もしかしてそれを言いたくて明希はわざわざこの店を選んだのかもしれない。  "あの事は忘れてまた以前と同じような日常をを取り戻せ"とそう言ってるように思えた。  でも明希ごめんね、、今は話せないけど僕の別のアカウントはもう動き出してしまったんだ。  

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