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#スイーツ男子の欲望はラスクの硬さと砕け散る弱さに似て③
その時、呼び鈴と男の声が重なり二人はハッと動きを止めた。パチっと目を開けて見つめ合っていると"お届け物です"と外から声が聞こえる。
だけどどこか違う様な距離を感じて玄関の方を見た。
「多分隣の家に荷物来たみたい。出ないと」
『えっ、!?隣、、何でっ?』
隣の家の呼び鈴でなぜ出ていくのかわからず、パタパタと玄関に向かう大我の背中を見て置いてけぼりの暖はなぜかちょっと残念な顔をしている。
ムードが一瞬にして消え失せてしまったベッド上に一人ぽつんと座る。外から会話が聞こえて配達員と思わしき相手はすぐにいなくなり、小包を抱えた大我が戻ってきた。
「ほらやっぱり隣だったよ」
『いやっ、隣の家の荷物勝手に取っちゃだめだよ!』
「言ってなかったけど、ここは撮影用のいわば仕事部屋。んで俺の家は隣!」
『そうなの!?、、確かに物が少ないし生活感がないと思ってたけど』
ポンっとベッドに置いたダンボールの宛名を見ると国際便だとわかる。USAの文字が読み取れてアメリカから届いたであろう荷物をバリバリとテープを剥いで中を開けた。
「親からの届け物だった。時々くるんだよね」
『ん?大我の両親はアメリカにいるの?もしかして親ってアメリカ人!?』
「父親がアメリカ人と日本人のハーフだから、血は入ってるんだ」
『あぁ〜どうりで綺麗な顔してるわけだ、、』
小包から出て来たのは洋服。アメリカでの実店舗でしかしか買えないのか有名ブランドの見た事ないデザインが何着か出てきた。
おしゃれ番長の買い物ルートに納得していると大我が中に入っていた手紙を読み始めた。
"それとマコトくんと仲良くしてる?おまけも入れておいたわ。こうゆうは大事だからこういうのちゃんと使いなさいよ。また日本に帰る日が決まったら連絡します。じゃあねSee you bye!"
母親からの手紙にはそう書いてあった。
『手紙何て?』
「おまけあるって。これかな?」
手を入れて奥にあった手のひらサイズの箱を取り出すとカラフルでアメリカに売っている可愛いお菓子でも入っていそうなパッケージ。
『ああ!これきっとガムだよ!外国は行った事ないけどこうゆうイメージあるもん』
「ガム、、暖ちょっと開けてみたら?」
甘いものには目がない暖は目を爛々 とさせて箱を開けると透明の小袋に分けられた物が10個程入っていて、暖は一つ取り出してまじまじと見ている。
『んっ!何これ?食べモノじゃないのかな?、、おもちゃかな?』
「あー…いや暖、、本気で言ってる?」
『何の事!?』
「正解言うけど、、それコンドームだよ」
『コン、、ドー、、ム?ええええぇぇ!!?』
大声を出して投げ捨てたコンドームは暖の手からベッドの下に落ちた。かろうじてモノの存在は知っていたようだが、思わぬリアクションに面白さより疑問が湧いてくる大我。
『両親何でそんなものを!?あっアメリカだから!?確かにあっちは性に関して寛大な感じはするけど、、だからって息子に送り付けるなんて……さすが自由の国USAだ、、』
「ちょっと暖、、何一人でブツブツ言ってんの?じゃぁ一応聞くけどAV見た事は?」
『……ない』
「エロ本読んだ事は?」
『それもー…ない』
「まじっ?、、もはやここまでくると暖は絶滅危惧種の相当希少な男子に思えてくるわ、、」
今ドキ小学生だって知ってるであろうモノを19歳の男子のこんな反応見られるとは純潔にも程がある。だけど出会った事ないタイプに暖への興味は深くなる。
「あっそうだ。よければ隣の部屋行ってみる?」
『いいの?じゃー…行ってみたいな』
「ほとんど誰も入れた事ないけど特別ね!」
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