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#スイーツ男子の欲望はラスクの硬さと砕け散る弱さに似て⑭

 「電話、学校の友達?」  『あっうん、、何か忘れ物したって。別にそれだけっ』  ふーんと口を尖らせて上半身裸のまま部屋を歩く度、暖は回転しながら大我に背中を向けて床を見ながらモジモジと落ち着きなくスマホを強く握る。    「ん?何?」  『だ、だからッ、とりあえず何か着たがいいんじゃない?!?』  「ああ〜それでソワソワしてんの?仕方ない、いつもは上は着ないで寝てるんだけどなぁ〜」  『夏だって、エアコンの風邪引いたりするんだから!着たがいいよっ!!』  「えぇ〜仕方ないな、そんなに言うなら。じゃクローゼットの中のTシャツ取ってくれる?」  『あー… うん、、』  少し揶揄(からか)ったような笑みを浮かべて言うと、素直にクローゼットを開けて一番手前にあるダボっとしたTシャツを手にした。背中を向けたまま後ろ歩きで近づくと大我を見ないように後ろから手を出して渡す。    「そんなに警戒しなくても襲ったりしないよ」  そう言ってTシャツを受け取って着る大我をチラチラと振り返ってやっと肌が隠れたのを確認するとやっと顔を合わせた。  「ねぇさっき電話の友達って、もしかしてこの前一緒に駅にいた子?」  『えっ駅、、?あ〜うんそうだけど何で?』  「泊まるなんて言ったら嫉妬しちゃうんじゃない?ほらあの子、暖のこと好きみたいだし!」  『はっ!!何言ってっ、、だから明希はそういうんじゃないってば!それに……これやってること誰にも言ってないから』  「配信してる事?そうなんだ、誰にも?」  『うん。内緒にしてる』  仲良しの友人にすら秘密にしているのは人に言えないような事をやってると言う負い目があるのか大我は本音を聞きたくなった。  「今日ー…顔出してよかったの?」  『、、うん。自分でもよく分からなくて、、だけどあの時はそういう衝動にかられてー…』  「ごめん、みんなに煽られてやらざるを得ない状況だったよね……俺がもっと止め、、」  『違うよ!あのね、、何かさ多分見てくれてる人達に認めてもらいたかった。みんなからしたら恋人だって見えてるんでしょ?だったらちゃんと恋人のように振る舞いたいって思った……」  「そっか、、暖ありがとう」    真っ正面から改まってお礼の言葉を言われて気恥ずかしさから大我から目線を逸した。目に入った時計は気づけば深夜0時を超えて日付が変わっていた。  『シ、シャワー行ってくるっ!』  バタバタと駆け足でシャワールームまで走って着替えも何も持たないまま強く扉を閉めた。 熱いシャワーを最大限の水量してバシャバシャと浴びると、今日一日の出来事がスッキリと流れていくようで目を瞑り顔で水を受け止める。  だけど唇に残るキス感触は落ちそうにない。  30分程でシャワーから出ると脱衣所に用意されていたTシャツと短パン、まだ袋から出してない新品の下着。いつの間にか大我が入って用意してくれたらしい。 お言葉に甘え下着までしっかり身に付け部屋に戻ると大我の姿はベッドの上にあった。  『大我ー…あれ、、寝てる??』  覗き込むように近づいて顔を見ると、スースーと寝息を立てて安心したような顔で眠っていた。きっといろんな神経を使わせてしまって疲れてしまったのだろう。 初めて見た大我の寝顔がとても綺麗で、いつも完璧な姿とは違う無防備さが可愛くてしばらく見惚れた。  『あれ?あっちの部屋ベッドで寝るって言ってたけど、、これはー…このまま一緒に寝る、、って事になるよね?、、でもまぁ寝ているし別に何も起こらないもんね』  1分ほど頭の中で整理してこのままそっと大我の体に布団をかけて静かに起こさないよう隣に寝転んだ。大我の言う通り広いベッドは男二人でも窮屈はなかったが自然と大我の背中に吸い寄せられるようにピタッと肩をつける。  『おやすみー…期間限定の恋人、、』
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