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#スイーツ男子の葛藤はミルフィーユの重なる想いに挟まれて②
『い、従兄弟!そうっ!さっきの人は従兄弟のお兄ちゃんだよ!』
「従兄弟?」
『昨日から家に来てて泊まってさ!朝遅刻しそうだったからバイク乗せてもらったんだよっ』
「へぇ〜見たかったな〜私の中でバイク乗ってる男はポイント高いから♡」
明希はあのSNSの一件で動画配信を見ていて大我の存在を知っている。ただヘルメットで特徴的なピンクヘアーは隠されて、顔だってはっきりとはわからなかったはず。それだけは唯一の救いだった。それでもまだ明希の視線が強く当たる。
「ほんまか?それ。嘘ちゃうよな?」
『う、嘘じゃないー…よ』
「ちょっと何よ明希。何を疑ってんの?あのね〜暖は絶望的に友達いないんだから親戚以外に誰がいるのよー」
『いつみ……間違ってはないけど少し傷付く』
「あっ!ごめんっ」
「……まぁそれもそうやな。変なこと言うて悪いな」
いつみのおかげで上手く逃げられた。だけどなぜか明希の目からは疑いや怒りではなく哀しみを感じた暖は、前を向いた明希の背中をじっと見つめる。
『そ、それにしても先生遅いね、、』
「そうね。休みかな、自習?」
そうこう話してると遅れて教室に入ってくる講師は、いきなり抜き打ち小テストなんて言い出す。
いつもなら"いややなー"なんて小言を口に出す明希がなぜか今日ばかりは静かだ。
そしてこの日は朝からずっと口数の少ない明希の異変を感じながら、五限まで授業を終えた。
「ねぇ!この後空いてるならカラオケ行かない?」
『カラオケ?まぁ特に予定ないし、いいよ』
「やった!さすが暖!明希は?」
「俺はええわ」
「何でー?今日バイトないんでしょ?」
「そうやけど、何かそういう気分じゃないねん。俺に気にせず2人で行ったらええよ」
『明希、、なんか今日一日中元気なかったけど何かあった?具合悪いとか?』
「別に。元気や。ほな楽しんできてや」
「えーー!ちょっと明希ー!何なのよもうっ」
そう言って教室を出てた明希。いつみは膨れっ面で足早に帰ってく明希の背中を見ていて"まぁまぁ"と宥めるしか出来ない暖も心の底では明希の事が少し心配だった。
そしてそのまま二人で駅近くのカラオケ店に入って2時間が過ぎた。日も暮れビル6階の個室のカラオケルームの窓の外は真っ暗。照明ライトがピカピカと何色も曲に合わせて勝手に動き出す。
ソファーの上に立って流行の人気ソングを連続で歌い続ける、いつみをぼけーっと下から見ている暖。
「あ〜!やっぱりカラオケ最高〜!少し休憩っ!っか私ばっかり歌って暖歌ってないじゃん」
『いや、音楽聞かないからよく歌わかんなくて。それより元気だね、、10曲連続で歌うとか……相当ストレス溜まってた?』
「当たり前じゃん。夏休みもなく勉強勉強って。受験生なんて皆んなストレスの塊でしょ」
ソファーにちょこんと座りテーブルの上にあるポテトをつかんで口に運ぶ暖の隣にマイクを置いて座ったいつみ。
『まぁそうだね、、受験なんて早く終わって解放されたいな』
「ほんっとそれ!しかも勉強の息抜きに観てた癒しのカップル配信動画も変わっちゃうしさ〜」
『、、動画配信?』
「そっ。男同士のいわゆる同性カップルなんだけど、なんていうかスキャンダル的な感じでその二人が別れちゃってさ」
『ッ!!……そ、うなんだ、、ちなみにさそれって何て名前の、、チャンネル?』
「何で?もしかして暖って意外とそういうの興味あるの?」
『違うっ違う!あー…ただの興味本位だよッ、、ほら知らない世界を知るのもたまには良い事だなーって!』
男性カップルの配信動画は他にもたくさんあるし、、まさかとは思うが恐る恐る聞いてみる。
もしそうだった場合、変に感づかれる可能性もあるけどこのままこの話題をスルーには出来なかった。
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