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#スイーツ男子の葛藤はミルフィーユの重なる想いに挟まれて⑦

 色んな事がありすぎたこの数ヶ月間の始まりはまさに大我が暖の家に登場した事から始まった。あの時なぜ家が知られたのだろうと思っていたがそれは目の前でニヤッとしている男のせい。  『そ、そうなんですか!!?』  「いやまさか本当に、しかもそんなすぐ大我が家に突撃すると思わなくてさぁ〜驚いちゃったよね〜」  「そう俺が叔父さんにお願いしたんだ!これを投稿してる人はどんな人かなって興味本位でっ」  『あっ!でも何で投稿したの僕だってー…しかも家まで、、個人情報わかるような投稿してないと思うですけど、、』  「甘いっ!!!」  バシンッと言葉のハリセンが飛んで来て思わずビクッと体を縮めた暖。    「今の時代簡単に個人情報なんて簡単に盗めるわけよ。気をつけた方がいいよ〜俺が善人でよかっただろ」  「叔父さんはね、元警官だから!」  『えっ!?、、警察ー…だったんですか?』  歯切れ悪くそう言って疑うような目で修一を見ると大我は暖の肩に手を回して耳元で小声で囁く。  「わかるよ暖。警察には見えないって言いたいんでしょ?確かに〜どちらかと言えば警察にお世話になる方のー…」  「あっいやっ僕は別にそんなっ、!」    バチンッと音を立てて修一のデコピンをくらった大我が"痛ったー"とおでこに手を当てる。  「誰が警察のお世話になる顔だって!?」  「冗談なのに〜」  "準備できました。いつでも行けますよ"作業着を着たスタッフらしき男性が言いに来ると、大我はペコッと頭を下げた。 話している間に小型カメラやマイクがバイクに設置されていて、これから何かが始まる予感。  「サーキット走るのいつ振りかな」  「くれぐれもだけは気をつけてくれよっ!」  「わかってま〜す。それじゃ暖、叔父さんと見てて。叔父さんくれぐれも暖に変なこと言わないようにっ!」  何が始まるのかわからないまま暖を置いて大我は行ってしまった。二人きりなった暖は少しの沈黙の後、恐る恐る修一の顔を見ると被っていたキャップを脱いで、眩しそうな目を暖に向けた。  「よーし!んじゃ暖くん特等席で見たい?」  『えっとー…観るって何を?』  「何ってバイクのレースに決まってるでしょ〜ここはサーキットだよ。ちょうどねこのサーキット所属の育成ドライバーの子達が走るからそれに大我も参加するって」  『えっ凄い、、観たいです!』  よく考えれば配信者としての"TAIGA"しか知らなくて"大我"はきっとまた別にいる。暖がSNSでの"HAL"や配信での"NATSU"と使い分けているように。  何とも言えない独特のサーキットの雰囲気や匂いに包まれながら静かに修一の後を着いていく。気づけばずいぶんと観戦席の上段まで上がってきていた。  「ここだよ」  『うわ〜凄い、全部見える!』  ガラス張りの部屋は快適な温度で、ラップタイムなどを表示するモニターやレース映像用モニターなどが上に設置されていた。いわゆるVIP席と言うものだ。  「ここなら走りが一目瞭然すべて見える。なかなか入れないんだからね〜感謝してよ」  『あ、あっありがとうございます!』  「んーと、そろそろ準備ができて始まると思うんだけど〜あーいたいた!」  修一が指差す方に目を向けると、10人程のライダースーツを着た集まりが見えた。暖もガラスのスレスレまで近づいて大我を探すと、太陽に照らされたピンク髪がわかりやすく位置を教えてくれた。  『大我いた!やっぱり何着ても似合うなぁ』  「惚れ直したか?」  『惚れ、、あっいや別にそういう意味じゃ』  「別にいいじゃねぇか。事情は聞いてるよ、恋人のフリして配信やってるんだろ?」  『はい……そうです』  「大我はチャラそうに見えて人一倍、繊細なハートだからな。だからきっと暖くんをそんな単なる配信で稼ぐ為の、一時的な相手だなんて考えてないと思うんだよな」  急に真面目トーンで話始める修一。その言葉の意味をどのように捉えればいいのかわからないけど、大我を幼い頃から見てきた修一が言う言葉には説得力がある。  『そうなんですー…かね?だけど僕、、』  「おっ!スタートの合図だ!始まるぞ、ほらっしっかり観てないと見失うぞ」

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