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#スイーツ男子の失恋はラムレーズンの熟した悲観と未来への調和⑫

 カーテンから差す朝日が憎く感じるほど朝はすぐに訪れた。身体を寄せあい頭もくっ付けてまるで夢の中でも一緒にいるような二人の寝姿勢。  先に目を開いたのは大我。隣にいる暖の寝顔を覗き込んでまたスヤスヤと寝息をたてているのを確認すると頭に小さくキスをした。 机の上の置き時計を見ると針は8時をさして窓の外からは車や人の歩く声が聞こえ何気ない普通の日常が始まっていた。  "んっっ"と反応を見せてゆっくり目を開いた暖は上目遣いで大我の顔を見る。  『大我おはよう。起きてたの?』  「おはよ。今起きた、暖はよく眠れた?」  『うん、ここ最近あまり眠れなかったから。久しぶりにぐっすり眠れたよ。やっぱり好きな人と一緒だから安心出来たのかな』  「眠れなかったってどうして?」  『何だか考える事が多くて頭がパニックになってたんだ』  「そう。その考える事の中にはもしかして俺のことも含まれてる?」  『、、、うん。だけどもう考えるのは終わり。こうやってベッドで目覚めて一番に大我のおはようが聞けたらそれだけでいいんだ』  大我がよしよしと頭を撫でると愛猫と同じ様に目を細めて気持ちいい顔をする。  「もう8時過ぎだけど学校は?」  『今日は2限から。だからそろそろ準備しないとだけどー…だけどいっそのこと今日はサボっちゃおうかな!ずっとこのままでいたいよ』  「俺はこのままでもいいけど、家族が帰ってきたらマズいんじゃない?」  『え!?っっあ!!そうだ!お母さん達は!?』  暖は寝ぼけ(まなこ)の顔から一気に目が覚め身体を起こした。そうだった、ここは天国でも夢の国でもなく家族が一緒に住む平凡な一軒家の自部屋。学校や家族と言うワード聞いて一気に現実に戻された。  「大丈夫、まだ帰ってきてないよ」  『本当に!?もしかして下にいるかも、、』  「だって俺のあんな目立つバイクが玄関前にあったら一目散にこの部屋に来るでしょ?」  『確かにそうかも。良かった〜』  「それなら家族が帰って来る前に起きて準備して、バイクで学校まで送るよ」  「うん、分かった」  暖は渋々身支度を始めた。洗面台の前に立ち歯ブラシ持つ手を動かしながら鏡の前の自分を見た。ぐっすり眠れて顔の肌艶(はだつや)もいい。だけど、1つまたもやっとする思いが浮かび上がって歯磨きの手が止まった。  もし家族が帰宅してベッドで今みたいに一緒に寝ているところを見られたらなんて言い訳すればよかったのか。さすがにあの状況でただの友達と言うには無理がある。 結局めでたく大我と恋人になれても家族や友達に言えないで隠していくしかないんだと。  そんなことを考えながら髪をちょっとだけ整えて部屋に戻って着替えをする。カバンの中の教科書に入れ替え、充電器に差したままのスマホをカバンに投げ入れてチャックを締めた。 その間大我も着替えをさっさと済ませて、猫にキャットフードを手の平で直接あげながら食べる姿を見て遊んでいた。  『お待たせ。準備出来た』  「よし!じゃ行こうか、またなー」  大我は猫にバイバイしてハンガーにかけていた上着を着る。ニャーと鳴いて二人が部屋から出ていくのを名残惜しそうに見つめている愛猫を暖は振り返って目をじっと見る。 口パクで"な・い・しょ・だ・よ"と家族に言わないでと人差し指を口につけてシーッと言うと大我の後を追って部屋から出た。  何だ?と顔を傾げてまた餌を食べ始めた。 部屋の中に入ってくる大我のバイクのエンジン音が遠く聞こえなくなる頃には、餌の入れ物が(から)になって満足して部屋を歩く。 ベッドの上に綺麗に畳んで置いてある大我の着ていたパジャマの匂いをクンクンと嗅ぐとその上で丸くなって眠り始めた。  ペットは飼い主に似るとはよく言ったもの。

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