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理不尽な現実 5

「や、……だ、やだ……やだ……っ」 それだけは絶対に。 その思いが強かったせいか、涙ながらに声を発してしまった。 身体的苦痛は耐えられるかもしれないが、精神的苦痛には、耐えられない。 「やだ……、他のことは、罰は、受け入れるから。ココだけは……っ」 嗚咽を漏らし、次々と涙が流れていく。 自分は男だと思っていたのを、同じ男である兄に否定されてしまった。 悲しくて仕方ない。 「やだ、やだよ……っ、やめて……」 駄々をこねる子どものように、ひゃっくり声を上げながら、その言葉を繰り返す。 と、急に我に返った葵は慌てて口を閉じたが、もう遅い。 途端に張りつめた空気、次に刺すような視線に、身体を震わせ、やや視線を逸らす。 けれども、その行為を赦してくれるはずもなく、自身の方へ強制的に向かされる。 「ねぇ、今の話聞いていた? そんなにも聞き分けのない子になってしまったの? 今、僕が何て言ったか、覚えている?」 「……ぁ、……あ……っ」 「答えて」 抑揚のない、じわじわと追いつめていくような口調に、止めていた涙が再び溢れてきそうになっていた。 喉がひりつき、上手く言葉にならず、唇を震わせていると、「それが、葵の答えね……」と吐息を吐くような言い方をした。 ぞわり、と総毛立つ。 縄を強く掴む兄の手によって、否が応でも反応してしまう自分に嫌悪感を覚えながらも、どんなお仕置きをされるのか、さっきよりも身体を震わせる。 「……ごめ、なさ……い……ごめん、さ……」 ごろんと、うつ伏せに、さらには臀部を高く上げておくようにと命令された。 連日の行為のせいで、腰が悲鳴を上げているのに、少しでも上げているのは辛くてしょうがない。 だが、兄に逆らったら、想像しただけでも恐ろしいお仕置きをされてしまう。 逆らったら怖いことを知っていたはずの葵人は、今からされるお仕置きに、赦されるはずがない謝罪を、熱に浮かされた時のうわ言のように呟いて、その時を待っていた。 さらけ出された臀部を手のひらでゆっくりと触られ、身体の震えとは違う、期待に近い震え方をした。 そして、後孔を隠すように両手から通された縄をずらし、知らないはずがない熱が宛てがわれたのを感じた後。 「……あ"ぁ"……っ!!」 ずりゅ、とナカに来た突然の衝撃に、一瞬、息が詰まった。 また無理やり事が始まってしまう恐怖に怯えていながらも、呼吸を整えようとしていた。 が、しかし、息を継ぐ暇を与えるが前に、がむしゃらに律動してくる。

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