23 / 122

理不尽な現実 6

「ぁ"……あ……っ……」 体勢が辛い。両手が痛い。前がどんどん反応していくから、そこも痛い。尿道に挿入()れられた棒のせいで尿道も痛みを感じる。左乳首もそうだ。チクチクとした痛みもある。 ──男としての役割はないのだから、ココはいらないか 兄がそう言うのなら、どんな理不尽なこともそうだと肯定しないと。 昔から兄が間違った判断をした時はあったか? なかった。だから、兄が言うことは正しい。だとしたら、男の象徴をなくしたって、。 ちがう。そんなはずがない。それは間違っている。大事な部分をなくすか否かは、自分自身が決めること。兄が決めることじゃない。ああ、ちがう。そのような考えもしてはいけない。 自分は償っても償いきれない罪を犯した。 だから、どんなことをされても、文句も否定もしてはならない…………。 恐怖と痛みで、しかし、完全にはなくはない快楽に、思考が正常な判断が出来なくなってくる。 兄が全て正しい。兄が全て正しい。 「ご、……っ、なさ……ごめ、ん……」 涙ながらに途切れ途切れの謝罪を口にする。 自分が言ったことは間違いでした。だから、ごめんなさい。 「……めん、なさ……っ、ごめ……──っ!!」 ズンっと、奥まで突き刺した、その時。 碧人のが痙攣しているのを感じた。 射精()されていく。奥深くの、子を宿す器官に種が注がれていくのを感じる。 自分の役目はこうだった。このような行為をし、家のために子を宿すのが、自分しかできない役目。 だから、子を宿すために必要な種を注ぐ器官は、自分には不必要で。 ちがう、ちがうっ。 この家では、次男が女性的役割を担わされているが、自分はそうじゃないと言い切りたい。 そうじゃないと、自分で自分の存在を否定しているかのようだ。 ちがう……ちがう……っ。 やっぱり、自分の言ったことは間違いじゃない。 そうとこの口で言いたい。けど……。 「…………ぁ……っ!」 何の前触れもなく碧人のが、葵人から引き抜かれたのを感じ、小さく呻いて、そのまま畳に突っ伏した。 短い呼吸を繰り返し、だが、下腹部辺りがじくじくと痛みを感じる。 これは発情期の兆候だろうか。いや、数日前に来たのだから、まだ来ないはず。ということは。 「……生理……」 頭上から思ったことを口する声が聞こえ、ぴくりと肩を震わせた。

ともだちにシェアしよう!