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理不尽な現実 6
「ぁ"……あ……っ……」
体勢が辛い。両手が痛い。前がどんどん反応していくから、そこも痛い。尿道に挿入 れられた棒のせいで尿道も痛みを感じる。左乳首もそうだ。チクチクとした痛みもある。
──男としての役割はないのだから、ココはいらないか
兄がそう言うのなら、どんな理不尽なこともそうだと肯定しないと。
昔から兄が間違った判断をした時はあったか? なかった。だから、兄が言うことは正しい。だとしたら、男の象徴をなくしたって、正しいこと。
ちがう。そんなはずがない。それは間違っている。大事な部分をなくすか否かは、自分自身が決めること。兄が決めることじゃない。ああ、ちがう。そのような考えもしてはいけない。
自分は償っても償いきれない罪を犯した。
だから、どんなことをされても、文句も否定もしてはならない…………。
恐怖と痛みで、しかし、完全にはなくはない快楽に、思考が正常な判断が出来なくなってくる。
兄が全て正しい。兄が全て正しい。
「ご、……っ、なさ……ごめ、ん……」
涙ながらに途切れ途切れの謝罪を口にする。
自分が言ったことは間違いでした。だから、ごめんなさい。
「……めん、なさ……っ、ごめ……──っ!!」
ズンっと、奥まで突き刺した、その時。
碧人のが痙攣しているのを感じた。
射精 されていく。奥深くの、子を宿す器官に種が注がれていくのを感じる。
自分の役目はこうだった。このような行為をし、家のために子を宿すのが、自分しかできない役目。
だから、子を宿すために必要な種を注ぐ器官は、自分には不必要で。
ちがう、ちがうっ。
この家では、次男が女性的役割を担わされているが、自分はそうじゃないと言い切りたい。
そうじゃないと、自分で自分の存在を否定しているかのようだ。
ちがう……ちがう……っ。
やっぱり、自分の言ったことは間違いじゃない。
そうとこの口で言いたい。けど……。
「…………ぁ……っ!」
何の前触れもなく碧人のが、葵人から引き抜かれたのを感じ、小さく呻いて、そのまま畳に突っ伏した。
短い呼吸を繰り返し、だが、下腹部辺りがじくじくと痛みを感じる。
これは発情期の兆候だろうか。いや、数日前に来たのだから、まだ来ないはず。ということは。
「……生理……」
頭上から思ったことを口する声が聞こえ、ぴくりと肩を震わせた。
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