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理不尽な現実 15

肩で息をし、虚空を見つめていた時、無に近い表情の兄と目が合った。 「タンポンを入れたぐらいで、そんなにも反応してしまうだなんて、やらしい子……」 「……っ」 「でも、出ないことは分かったでしょう? もう、葵には必要がないってことなのかもね」 「ち、……っ」 違う、と即座に否定しようとしたが、睨まれ、噤むこととなった。 「食べる気はなさそうだから、葵の望み通り、薬を取ってくるから、何もせずに待っているんだよ」 碧人が部屋から去っていくのを、呆然と見送っていた。 否定したかった。 兄が射精()し切らせたから、今は射精()したくても、射精()せないのだ。 けど、あんな目をされたら何も言えなくなる。 兄のあのような目を見たことがなかった。 そういうのは本当に慣れていなく、特に兄の場合は、この後が恐ろしいから歯向かえもしない。 後になって、自分のことを想っていたからこその怒っていたならば、愛おしく思えるのに。 そう思うのは、兄がきっかけではない、違う"誰か"。 身動き出来ない頃からずっと考えていたこと。けど、何故かつい最近、また会ったような気さえもする。 それは、何故なのか。 と、そこで腹部を強く押されている感覚が起き、思考が途切れてしまう。 それと同時に来てしまう性欲。 生理のせいで普段はない性欲が強く出てしまい、より腹奥の疼きが治まらない。 否定、は出来そうにないのではないかと、脂汗を滲ませ、腹部を押さえながら思った。 一般男性に生理はなく、こうしてそれがきっかけに性欲が強くならない。 でも、でも……。 「ようやく、僕の言うことを聞いてくれた……?」 冷めない熱と自問自答する頭に意識をおいやっている時、いつの間にか戻ってきた碧人が顔を覗き込んできた。 手には、コップと薬を一錠持っていた。 今は兄の顔なんて見たくないと、顔を逸らすものの、一旦それらを置いた兄の手によって起こされ、顔を向かされる。 「にい……、……僕、自分で飲めるよ」 「だったら、この期間が終わったら、お仕置きを増やしてもいいってことだね」 「……ごめんなさい。飲むのを手伝って」 微笑み、よりも冷たい表情に近い碧人の圧と、さっきそう言われていたことを言った後に気づき、恐れながらも手伝ってもらうこととなった。 兄は畳に置いていた薬を自身の口に含み、その後水も含んだ。 まさか、と思ったが、その時には、驚いて半開きとなった口に流し込まれる。 「ん……っ、ふ……ん……」

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