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理不尽な現実 17

不快な感覚でいる葵人の口から碧人が離れていった。 二人の間には、名残惜しそうに銀の糸が引いている。 兄が離れてしまった寂しさで、自分から口付けようと顔を近づけた瞬間、また下からの責めが始まる。 「やっ! ん……! で、ない……っ! でない、からぁ……っ!」 そう口では言うけれども、兄の手で慰めて欲しいと思い、力の入らない腕でどうにか兄を自身の方へ引き寄せた。 「ん……っ! ん! ひぅ……!」 波が来た……っ! 快感の波が……っ! 嬉しくて、自ら腰を動かし、早く快感を得ようとしていたものの、葵人のは萎んでしまった。 射精()ない……射精()ない……。 悔しくなってきて、目に涙を浮かべながらも、再び腰を動かしていたが、兄の手が強く握ってきたことにより、強制的に止まることとなった。 「……何、勝手に腰を動かしているのかな……? 本当に葵は淫乱だね」 「んぅ……っ!」 「そんなにも射精したいのなら、させてあげようか」 「ひゃ、ぁ……っ!」 性急に手を動かされ、自分の意思ではどうにもならないぐらいに喘ぎまくり、何度も大きな波が訪れた。 けれども、さっきから何度も感じたように、一滴も出なく、中心部を痛めるだけだった。 ここで、「止めて」と言いたいところだが、それは兄に反抗したと見なされ、後々酷いことをされることを恐れ、ただ兄の気が済むまで扱かれ続けた。 どのぐらいそうしていただろうか。 気づけば仰向けとなり、浴衣が張り付くほどびっしょりと汗をかき、酸欠を起こしていた時、手が離れていった。 だいぶ前から、じんじんと痛む中心部に眉を潜めていると、碧人が額に張り付いた髪を掬うように撫でてきたことで、肩を震わせる。 「もう勃たないぐらい射精()せて、すっきりしたでしょう? 汗もかいたことだし、着替えないとね」 持ってくるから、と何度目かの部屋を出て行ったのを、今度は見送らず、虚空を見つめた。 何もすっきりしてない。 かえって、使えなくなってしまったのではないかと思うぐらい、痛めつけられてしまった。 必要以上にそうしてくるものだから、疲労と痛みが拭われることはなかった。 これも、"罰"ということ……? そのうち考えるのも億劫に感じた葵人は、目を閉じた。 悲惨な現実を見たくも、受け入れたくもない罰から逃れるように。

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