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理不尽な現実 20
自分自身に嫌悪感を露わにしている合間に、兄は葵人のを上に向かせると、共に用意していたらしい、先端に冷たい物を感じた。
「ひゃいっ!」
大きく腰辺りを震わせていたのも束の間、尿道口に鋭い痛みが走った。
それは、発情期の時に兄さん以外の呼び方ではない呼び方をしてしまったがために、"お仕置き"された時に挿入 れられた時のような。
筒状の物で覆われているせいで分からなかったが、尿道部分に細い物が取り付けられていたようだ。
「い……っ、……ぁ……あ"ぁ……っ」
ゆっくりと侵入してくる異物に、耐え難い痛みと恐怖に陥り、まだ自由な両足でばたつかせた。
あの時もそうだったが、この痛みだけは耐えられない。
その抗議の意味も込めて、目に涙を溜めながら、これ以上にないぐらい暴れた。
と、途中で手が止まった。
「……本当に、なんなの……」
「いっ……!」
太もも辺りを強く叩かれたことにより、暴れるのを止め、そして、ゆらりと立ち上がり、何かを取りに行く様子の兄の後ろ姿を、怯えた目で見つめていた。
本当に何度、愚かな行動をすれば気が済むのだろう。
すぐに戻ってきた兄の手には、束になって結ばれていた縄が二本持っていたのを見て、それをどこに縛るのか、瞬時に察した。
そこで再び、太ももを叩かれる。
「……本当に、葵は悪い子だ」
そう言いながら、左足の太ももとすねごと縛られる。
案の定だと思っていると、また叩かれる。
「……罪深い、哀れな僕の妻 」
右足も同じように縛られる。かと思うと、さらに片足ずつ余っていた縄を持ち、引っ張り上げられると、あろうことか天井部の檻の木に縛り付けられる。
碧人に秘部を向け、ややでんぐり返しに、強制的に足を開かされたその格好に、羞恥でかっと頬が熱くなった。
「何、今さら恥ずかしがっているの……?」
「だ、だっ……て、──んんっ!」
途中まで挿入 れられた細い物が一気に押し込まれ、突然の衝撃に腰を浮かせた。
が、それと同時に秘部が反応を示したものの、それ以上は大きくならず、ただ痛い思いをするだけだった。
身悶えしている葵人に取り付けたソレに、鍵が閉まる音がした。
「これで勝手に慰めることも、男のように排泄することは出来なくなった」
するりと、指先で金属製の筒を撫でる兄の無慈悲な言葉に、意識が遠のくのを感じる。
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