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改淫な贈り物 15

「葵」 霞がかった頭でゆるりと顔を上げると、顎を掬われ、唇に軽く唇が合わさる。 顔が離れた兄と目が合うと、にっこりと笑みを深めた。 「ようやく、僕の言うことを聞いてくれたね。いい子……。けど、もっと汚して欲しいかな」 「ご、ごめん……なさい……」 「しょうがない。手伝ってあげる」 額にキスが落とされた後、ぐいっと腰を高く上げられ、強引に四つん這いにさせられると、「挿入()れるよ」と言う声と共に、くぷっと肛門に滾ったモノが差し込まれる。 ぞわぞわとする感覚に苛まれながらも、肉壁に絡みつく感覚が気持ちよすぎて、排尿するが如く、白い液がとめどなく溢れていく。 「ふふ……、おもらししてる、みたい……っ、嬉しい……?」 「うれ、し……っ、ふっ……!」 「どんどん、汚れていくね……」 「……あ…………んっ……」 わざとらしく「汚れている」の時は耳に近づけて言う碧人に、また涙を流す。 碧衣に対する罪悪感が募る。 ゆるゆると揺らしていた腰が、段々と激しさを増していき、止まらない淫らな声を漏らした。 「あっ、あっ、んひぅ! く、っ! んっ、あっ、あぁ、んっ!」 「あお、い……、きもち、いいね……っ。きもちいい……」 「きもちぃっ! いいっ! いいよ、にいさ……んっ!」 やや横向きに片足を担がれたすぐ、口を重ねた。 驚き、口が開いたその隙を舌が入り、葵人との舌と絡め合う。 かと思うと、すぐに離され、同じように頬を紅潮させた碧人が言った。 「まだ、兄さんと呼ぶの……? もうとっくに夫婦なのだから、その呼び方じゃないって、何度か言っているじゃないか」 「……ぁ、ごめん、なさい」 「謝るよりも、呼んで」 期待と怒りと呆れが入り混じった声音に、瞳孔が開く。 前からずっと兄は。あの儀式の時、自分が呼んでいたのは。 小刻みに震える唇を開く。 「あ、あお、碧人、さん……」 緊張と呼び慣れてない恥ずかしさから、つっかえた言い方となった。 が、そう呼んだ瞬間、ふっと目尻が下がった。 「ふふ、ふふ。やっぱり、その呼び方はいいね……。可愛いよ、僕だけの葵人(奥さん)」 愛おしげに上げられていた足の太ももに、キスが落とされる。 途端、そこから火照っていき、さらに頬を赤くするのを、足を下ろし、再び精液にまみれた写真と対面させられた時、激しく突かれる。 「あっ! あお、あおと、さぁんっ! んッ! はげしっ! はげし、すぎるっ! あっうっ!!」 ぴゅっと、何度目か分からない、透明になりかかっている液体が放たれた。 のと同時に、ナカに熱い精が放たれたのを遅れて気づき、腰を震わせてそれを感じていた。 そして、射精()し終わっても、再び律動してこないことをいいことに、自身が放った精で汚れることを気にせず、横たわった。 碧衣のことを汚してしまった。 到底、赦されない罪。 ごめんなさいごめんなさい。 もう、きっと逢えないだろう愛したかった人に向けて。 涙が頬を伝い、白濁した液と混じり合い、呆然としている葵人に「すっかり汚れてしまったから、お風呂に入りに行こうか」と、目隠しされ、抱き上げられる。 その間も葵人は、小さく嗚咽を漏らし、布を濡らしていった。

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