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懐妊 4 ※嘔吐描写あり
「まさかね、初めてにして、双子を妊娠しているとは思わなかったよ」
「急に賑やかになるね、楽しみだな」と腹部辺りに触る手を、葵人は、ゆっくりとした動作でありながらも掴んだ。
「葵……?」
「……っ、」
「ん?」
「……ほんとに、碧人さんは、楽しみだと思ってる……?」
「それはもちろん。だって、葵との子ども達だよ。葵と同じぐらい可愛がってあげたくなってしまうよ」
「……僕は、楽しみじゃない」
腹部を撫でていた手が止まった。
「……どうして?」
「つわりがあまりにも酷くて、今ですら嫌気が差しているのに、これがいつまで続くのかと思うと……その原因のお腹の子達を、殺めてしまいたくなるの……っ」
思っていたことを口にしてしまった瞬間、今すぐにでもしてやりたい衝動に駆られ、弱々しくも握り拳にし、自身の腹部めがけて振り下ろそうと、上げようとした手首を掴まれた。
「離して……っ!」
「離さない。葵、自分が今、何をしようとしているのか、分かってる?」
「やだぁ……っ、離して……っ」
「絶対に後悔するから」
「後悔、しない……っ! 産んだ方が、後悔するっ! ──んっ!」
一つに手を纏め上げられ、顔を強引に向かせられた瞬間、乱暴に口を塞がれる。
今までよりも乱雑に舌を嬲り、葵人は息をするのが精一杯であったが、悦びに頬が蕩けそうになった。
性行為はおろか、キスをすることさえ久しくなかったのだから、こうして触れ合うことが嬉しく思った。
もっと奥まで乱暴にして欲しい。それから、下も碧人の立派な秘部で、壊れてしまうぐらい犯して欲しい。
ナカが濡れるような感触がし、乞うような、潤ませた眼差しで見つめていた時、口が離れていった。
唾液が多く含んでいたせいか、二人を繋いでいた糸はすぐに切れ、口元を汚していくが、そんなことよりも。
「どう、して……」
「こうでもしないと、葵は大人しく──」
「どうして、抱いてくれないのっ! 今までは、毎日のようにしてくれていたのに! ……う、おっ、ぇ……」
急な吐き気を催したすぐに、碧人の服に戻してしまった。
大して食べてない物と胃液混じりのが臭気を放ち、葵人はさらに嫌な気持ちになっていった。
「葵、興奮すると身体に良くないよ」
「……もう、僕だけじゃ……なくなったから、抱いてくれ、ないの……っ? 一番じゃ、なくなったから……」
「そういう意味じゃ……──」
「そうなんでしょ! 僕のこと、嫌いになった、からぁ……」
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