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育み 2

「葵。そんなことを言わないで」 自身を責め、黒い渦に飲み込まれそうになっていた葵人のことを、碧人は後ろから抱きしめてきた。 「葵がいたから、新と真が産まれたんだよ。前にも言ったけど、初めてで双子を産んだんだ。それで疲れているのに、子育てなんてさせられないよ。それにだって、あの二人はママのおっぱいじゃないと飲まないのだから、子育てを完全に放棄をしているわけではないと思うよ」 「あ……」 言われて葵人は、自身の行ないを振り返った。 たしかに自分でなければ、あの二人は産まれなかったし、母乳を飲みたがる子達だった。 そして同時にそれらは、自身にしか出来ない役割。 「物分かりの良い葵は、きちんと母親をしていることが分かったでしょう?」 「うん。……ありがとう、碧人さん」 「どういたしまして」 前に回していた腕にそっと手を添えて、その言葉を噛み締めるように目を閉じた。 弱音を吐いてしまって、情けないと思っていたが、結果的に言って良かった。 葵人は口元を綻ばせた。 「さて、じゃあ、新と真のためにおっぱいマッサージをしておかないとね」 「そ、それは、自分で……! んひぅ!」 腕が緩んだかと思うと、片手をたわわと実る片方の膨らみに添え、もう片方の指先を突起に摘み、優しく愛撫される。 妊娠中から胸が張っていたのは、こうして赤ん坊に母乳をあげるための準備であって、その咥える場所をきちんとマッサージしておかないと、赤ん坊は上手に飲めないのだという。 だけれども。このぐらいのことも自分で出来ると言ったのだが、「意外と難しいから、僕に任せて」と言われるがまま、碧人にやってもらっているのだが。 「ん、ひぁ……! あ、あぅ! は、はぁっ! んぅ……っ!」 「葵は敏感であるのだから、丁寧に揉みほぐさないとね」 「は、ぁ……っ!」 やや強めに圧をかけられ、背中が仰け反りそうに、腰辺りが震えてしまうほどに、身体が反応してしまっている。 乳首から乳輪へと場所を揉み解している際に、メスイキベルトで包まれている秘部が、畳を汚してしまっているのではないと思うぐらいに、先端部から蜜が溢れていた。 敏感部に触れられているから、生理現象でそうなってしまうのは仕方ない。けれど、未だに付けられている右乳首のピアスが、びりびりと痛んでくるのが手伝って、快楽へと誘われてしまっている。 二人のためにマッサージしてもらっているのに、気持ちいいと思ってしまっている自分がはしたない。 葵人は真っ白になりかけている頭でそう思いながらも、耐えきれない嬌声を上げている自身の声に興奮し、腹の底から湧き上がる疼きに、太ももを擦り合わせた。

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