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育み 6
それからは、亀のような速度であるが、少しずつ慣れ始め、碧人も変わらずに積極的に世話をしてくれており、助かっていた。
とはいえ、二人が夜中に起きてしまったりするため、昼間は共に昼寝をしてしまうことが多く、碧人と会話をすることが極端に減っていった。
だけれども、その時の葵人はとにかく育児に追われており、そのことに気にする余裕はなかった。
そうした日常化していく日を過ごしていたある日のこと。
双子と木製の車の玩具を畳に転がして遊んでいた時だった。
新が不意に、小さな足を仁王立ちをするように、足を開き、その間に可愛らしい頭を屈めて、まるで前回りする時の姿勢になり、小刻みに震えていたのだ。
そろそろオムツの替え時となったか、けど、さっき替えたばっかりのはずだ。
他に考えられるとすると、病気……?
その考えが頭によぎった時、元々白かった肌がさらに白くなり、手を震わせた。
そうだとしたら、誰かに助けを求めなければならないが、自分は碧人がいないとここからは出られない。
すぐにでも言わなければ、この子がここで息絶えてしまうかもしれないのに、大きな障壁のせいで碧人がいないと何も出来ない自分があまりにも情けない。
碧人に助けを求める手段がないと狼狽えていた時、近くにあった檻の枠に小さな両手を掴んだ、その瞬間。
すくっと、小さな両足を伸ばした。
つまりは。
「……た、立った……」
青ざめていた顔から、面食らった顔へと変わる。
新は喜んでいるような声を上げ、その場でよたよたと、足踏みのように足を動かす。
と、バランスを崩したらしい、その場に尻もちをつく。
「新っ!」
そのことに驚いて、とっさに駆け寄ったものの、新はまた枠に掴まって立ち上がろうとしていた。
「あー!」
その様子を緊張で心臓を高鳴らせていた時、やや右後ろから高い声が聞こえ、驚いてそちらを見やると、真が何度も「あー、あー!」とさっき遊んでいた車の玩具を高く掲げて、声を上げた。
「まあ! 真、喋れるようになったのですか!」
「あー、さーっ!」
「そうなの、そうなの……」
新が先に喋れるようになっていたのだが、真はまだまだであったものだから、一生懸命何かを話そうとする小さな子が、あまりにも愛おしくて、気づけば頬に涙が伝った。
なんでこんなにも、精一杯なのだろう。
「新……っ、真……っ」
「うっ?」
小首を傾げる真に、視界に入ってなかった新がこちらに寄ってきた気配を感じつつ、我が子の小さな一歩の成長をひしひしと感じ、その二人を抱きしめる。
「あ、うーっ!」
「うっ、うー!」
「はいはい、そうですね……っ」
新も真の真似をして喋ろうとする様に内心驚きと嬉しさで、そのふわふわな髪を撫でていた。
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