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育み 9

「新。オムツを替えましょう」 「やっ!」 「……真は、お着替えもしましょうね」 「やっ!」 むちむちとした両手を交差させて、バツを作りながら、ぶんぶんと横に振った新と、まだ浴衣のままでいる真は、葵人の元から蜘蛛の子を散らすようにてってってっと、走り去ってしまった。 「……あぁ、ダメだ。今日も素直にさせてくれない……」 新のオムツを持ったまま項垂れてしまった。 そんな葵人の肩に手を置く者がいた。 「仕方ないよ。あのぐらいの年齢になると、イヤイヤ期があるみたいだし」 「碧人さん……」 にっこりとした顔を向ける最愛の人に、ホッとする、というよりも。 「……分かっているなら、碧人さんも二人をどうにかしてよ」 「どうにもならないと思うよ。二人が素直にやらせてくれるまで待つか、それとも、葵がお手本を見せるとかね……?」 そう言って、反対側の腰に宛てがわれたかと思うと、もう片方の手を葵人の浴衣の裾を捲ろうとする。 その手つきがやらしく、瞬時に頬が赤くなる。 「…お、お手本って、何をするつもり?」 「何って、葵が新にしようとしていたことだよ?」 「……!」 なんてことのないというような口調で、晒された太もも辺りをなぞるように触っていき、そのまま反応を見せる秘部にまで行きそうなところを、手で制した。 「何しているの、葵?」 「何はこっちのセリフ…! 子供達がいる前で何をしようとしているの!」 前も子供達が寝ている時に、声を我慢出来ないことをされた。 あの時は、寝ているから良かった、とも言えないが、今は二人が起きている時だ。教育上、よろしくない。 構わずにやろうとしているらしい碧人の手を、どうにかこうにか引き止める。 ところが、碧人はこう言うのだ。 「今、新と真は遊んでしまっていて、言っても仕方ないから、葵を着替えさせようと思っただけだよ」 「へ……?」 碧人の目線の先を、ぽかんとした表情で見てみると、たしかに二人は、葵人らから離れた場所で、ぴょんぴょん跳ね合って、きゃっきゃしていた。 微笑ましい光景、と和みたいところだが、二人してオムツは不愉快ではないのだろうか、と思っていた矢先、帯を解こうとするところを、こちらに意識を向けた。 「碧人さん! 自分で着替えられるからいいよ!」 「僕がいない時でも、二人の子育てしてくれていて、自分のことに気が回らないでしょう? このぐらいのことをさせてよ」 「大丈夫だって!」 「溢れている母乳はどうにか出来ないでしょ?」

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