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耐えきれない哀惜、檻猿籠鳥の矢先に 8
※幸成×葵人
「……身体が弱いからではありません。代々、桜屋敷家の次男は皆、若くして亡くなっています。必ず子どもを二人産んで、母としても女性のような役割を終えた後は、用済みであるかのように、散らされるのです」
「ど……して」
「一定の年齢で、女性のような身体付きになるのと同じで、本家であった者からの呪いの類でしょう」
言葉が失った。
そういった理由で子どもを引き離され、用がなくなった次男の立場である者は、残り少ない時間をこの檻の中で過ごす。
五年のお仕置きから一旦解放された時、碧人が「当初の計画よりだいぶ遅れてしまった」というような主旨の発言があった。
それは単に、自分が碧人の言うことを聞かなかったから、碧人が苛立っていたのかと思っていたが、そういう意味ではないと今、分かってしまった。
だとしたら、どっちにしろあの二人の成長を見られないということ。
こんなの、あんまりすぎる。
「結果的に、私は行成様だけを愛していればいいのです。私の唯一の幸せ……」
「そんなはずがない……っ、誰かのためだけに訪れる幸せ以外だってありますっ! 僕がそうだった──」
「……いえ、あなたもそうなはずでしょう? 碧人に愛されて幸せなはず。碧人がここに来ては、よくあなたのことを話してましたよ。お友達のことを助けてあげたり、すぐに自分に勉強を教えてもらおうとしたり。──そして、自分の手で、大人の証にさせた、と」
「…………や……っ」
そう言いながら幸成があろうことか、葵人の着物の合わせを捲り、何も包まれていない秘部を指先で触る。
「葵が中学生になる前の時、この辺りがムズムズするって、あの子に言ってきたみたいですね……」
「……ん、ふ、んっ……」
「病気なんかじゃないかと泣き出してしまったのを、碧人はそうじゃないと、こうやって触ったみたいですね……」
「あ、……ふっ、……」
「優しく……解きほぐすように……」
「あ、あぁ……っ! い、や……っ!」
幸成の冷たい体温で、ビクビクと震わせていたものが、葵人の体温と交わったのと同時に、扱く手が速まる。
だめ……勝手にそんなことをしちゃ……っ!
碧人にこんなところを見られたら……っ!
葵人よりも華奢な体躯を押し退けようとするが、本能に抗えず、胸辺りを必死になって掴むことしか出来なかった。
「あぁっ! だ、だめ……っ、お、かあ、さ……っ、イ、ちゃっ、う……っ!」
「私の前で、大人になった証を見せて……?」
「あっ、あぁーーっ!」
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