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14 ※碧人×葵人
碧人の種を注がれても、もう役割は終わったのだから、今さら嬉しくも何ともない。
ただ本能的に快感を得るのみ。
ああ、けど、こんな考えをしてもいいのかな。
「気持ちよかったね、葵……」
「……ね、……ぇ……」
「ん……?」
「あの……ふた、り……が、ぼく、たち……よう、に……はぁ……ふう……ふ、に……なる、ため……はな、され……ら、……さん、にん……め、の……こ……は、ぼ、く……っ、の、て……も、と──」
「それは、出来ないよ」
息を切らしながら必死になって紡いだ言葉を、呆気なく切られた。
「後継ぎのために子どもは二人必要だよ。けど、それ以上はいても意味がないから。それにしてもそんなこと、葵自身も気づいているはずでしょう? あの二人が産まれた後、発情期も生理も無かったことに」
意識が遠のいていく。
育児が忙しくて、当たり前にあったことを気づきはしなかった。
母が言っていた、「母としても女性のような役割を終える」というのは、そういう意味だと今さらになって理解させられる。
何故、無意味なことを口走ってしまったのだろう。
呆然とする葵人に、するりと頬に手を滑らせる。
「……愚かな葵。仮に三人目が産めたとしても、この僕が赦すわけがないでしょう。葵はもう、僕だけのものなのだから」
「……んっ、あっ、んぅ」
ゆっくりと腰を揺らしてくるのだが、持続する快感に、嫌になるぐらいに声が出てしまう。
「……愛しい悪い子……。いっぱい、愛 を、刻みつけるからね……」
「あっ、あうっ! あっ、あぁ! いやあっ!」
背中を仰け反らせ、大きく痙攣させるものの、勢いのない水がだらだらと、鈴口から零れるのみだった。
それに対して、碧人のは勢いよくナカへと注がれる。
「いやっ! いら、ないっ! もう、やぁっ!」
「葵に、拒否権はないよ……。僕が、いいって言うまで……注ぐから」
「やぁっ!!」
悲鳴のような叫びと共に碧人の宣言通り、また放たれる。
気持ちが吐き気を催すほど不快であるのに、身体が快感に溺れている矛盾に悲しくて涙が溢れた。
それも、行為による生理現象であるかもしれないが。
遠くから聞こえる、互いを想い合っている声を被らせるように悲鳴じみた声を上げ、気を失ってもなお、続けさせられるのであった。
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