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耐えきれない哀惜、檻猿籠鳥の矢先に 15

気が遠くなるほど無理やりされ続けた。 行為をしている最中は、抵抗出来ないようになのか、変わらずに頭上高く両手を縛り、下から突き上げられたりすることが多く、反対に片足ずつ高い位置に縛りつけ、強制的に仰向けに下半身を上げられた状態で、射精()もしないのにずっと扱かれ続けることもあった。 ようやく碧人の手から解放される、気を失っているとも言える、就寝時であっても油断は全く出来なく、両手ごと縛り、さらには両足も纏めて縛りつけ、それを檻に括りつけられる。 妊娠する前に戻ったか、それ以上とも言える、物理的にも精神的にも束縛される日々が当たり前になってきたあかつきには、葵人はもう、廃人に近い状態に陥っていた。 「あお、とっ、しゃ……っ! すきっ! しゅ、きぃっ! あい、してぇ! もっと、もっと!!」 「もっと……(あいして)めつけて、あげるね……」 「あ"ぁぁっ!!」 自分でも何を言っているのを分からない、呂律が回ってない言葉を喘ぎながら言うと、嬉しそうな笑みをする愛するしかない人からの容赦ない突き上げをされる。 これが葵人にとっての日常。何もおかしくない、"普通"の毎日。 何も考えなくていい。ただ、目の前にいる人が満足するまで情事に耽ればいいだけの話。 何もおかしくない。 そうした日々の中、当たり前になっていた、気を失い、眠りについていた葵人を碧人によって目を覚まされる。 「おはよう、罪深き僕だけの葵」 「……っはよ……あ……っ、と、さ……」 「今日もきちんと言えないね。身体で償ってもらうよ」 小さく笑って、葵人の額に口付けする碧人に、僅かながらに反応する。 連日行為を強要される中で、我慢ならない嬌声を上げ続けていたせいで、声が嗄れてしまったのだ。 だから、まともに声を出せなくなったのだが、今の葵人にとっては至極どうでもいいことだった。 身体で償わせてもらえるのなら。 「けど、その前にある儀式をしてもらないといけないんだ」 「……ぎ、……し……き……」 縛られていた両手を持ち上げ、半ば強引に起き上がらせる。 その際に掛けられていた布団が滑り落ち、何も着せられていない白い肌が晒される。 常人であれば羞恥し、自身の手なり、布団なりで裸体を隠すものだが、自分では何も考えられなくなった葵人は、ぼぅと目の前の光景を見ているだけだった。

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