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愛撫9

 「もしかして・・・困ってるの?」  少年は気付く。  勃起してしまって、なんとかしようとしていたのだろう。  中途半端に触って、その感覚に怯えて泣いているのだ。  「何もしないから・・・近くに行っていい?」  少年は尋ねる。  「ん・・・」  彼は頷く。  「・・・僕は触らないから、君の手を貸して」  背後から、彼の身体を抱きしめるように、でも出来るだけ身体が触れないように、座った。  少し彼の背中と少年の胸が触れてしまうのは勘弁してもらう  彼の手に自分の手を添えて、可愛く勃ちあがっているものに手をやる。   「いつも僕にしてくれたようにすればいいのに」  彼の手を使って少年はそこをこする。  自分の手は触れないように。  彼が悲鳴のような声をあげる。  「嫌だ、嫌だぁ!!」  怖がっている。    身体を震わし、先から汁をこぼしているから感じているのは間違いない。  「怖・・・い」  彼がすすりなく。  少年は気付く。  「・・・気持ち良すぎて怖くて・・・自分では出来なくて困ってたんだ、可愛い・・・」  少年はそんな彼が愛しすぎてたまらない。  「でも、このままだとツライからね」  少年は彼の手を使ってそこを擦りあげる。  「嫌っ、ああっ、やめてやめて・・!!」  泣くけど、止めない。  困っているのは彼で・・・約束通り少年は触れてないからだ。   「怖がらなくて大丈夫・・・」  優しく耳元で囁く。  本当はキスしたいけど耐える。  扱きあげていく。  「ああっ・・・ダメ・・・嫌・・・」  首を振る彼が可愛くて、その表情を見つめずにはいられない。  「・・・見ないで・・・お願い」  真っ赤な顔をして彼は言った。  恥ずかしがっている。  ・・・たまらなかった。  簡単に股を開ける連中を相手にしてきたところだから余計にだ。  「・・・それだけは・・・聞けないな」  少年は正直に言う。  理性を総動員して、触れないようにして、彼の手を使って扱いているのだ。  この表情を楽しむ・・・それくらいの役得は・・・欲しい。  でも、もう、彼は自分で扱いている。  自分では気付いていないけど。  指が止まらないのだ。  少年は彼の手をそっと放した。  彼は必死で自分を擦りながら、声を上げていた。   いやらしすぎる光景だった。  「見ないで・・・お願い・・見ないで・・・」  泣いていた。  「どうして・・・こんなに可愛いのに」  耳元で囁く。  「・・・こんな僕を覚えてて欲しく・・・ない」  彼は泣いた。  その言葉の意味が分からず戸惑ったが、少年は、しっかり彼が自分で上り詰め、声をあげて果てるのをその目に焼き付けた。  彼の初めての精通だと知っていた。   これはこれで・・・幸せだった。  少年が手に出した精液を綺麗に拭いてやり直接肌に触らぬようにして、服を整えてあげた。  本当は優しく抱きしめてあげたいのに。  まだ泣いてる顔にキスもしたいのに。  髪をそっと撫でた。  これが精一杯。  「・・・また後で話しよう。ちょっと待ってて」  優しく彼に囁く。  彼以外の誰かにぶち込む必要があった。  彼に何かしてしまわない為に。  彼のあんな姿を見たので、せっかく出してきたのに意味がなくなってしまった。  ギンギンに勃ちあがっている。  マザーのお楽しみはまだまだだろうし、誰かそこらへんにいるヤツを捕まえて、その中で出そうと思っていた。  やればすっきりするだろう。  それから彼と仲直りをしよう。  少年は部屋の外へ出ようとした。  「・・・他の子とするの」  彼が言った。  思わず振り返る。  彼にはバレないようにしているつもりだったのに。  「さっき教室に行ったら・・」  彼が口ごもった。  「見たの?」  少年は内心動揺する。  それを誤魔化すように言う。  「僕がしてるのを見て・・・勃ったんだ・・・どっちに興奮した?僕がしてるのに?それとも、自分がされてるの想像した?」  意地悪く聞く。  彼は真っ赤になる。  少なくとも、自分に性的に興奮は彼はしてくれているのが確認できた。   嬉しかった。  「・・・だって君は僕とするの嫌だろ。君が嫌がることはもう絶対しないと決めたんだ、だから、他の子とする」  開き直る。  「・・・だから、もう他の子がいいの?」  彼が泣いた。   嫉妬してくれている。  そう思った。  幸福感が溢れ出した。  彼以外を抱いて良かったとすら思った。  彼は僕がやはり好きなんだ。  性的な意味でも。  幸せだった。  「・・・もう僕はいらないんだ」  でもそれは彼の絶望的な声で消えた。  違う。  何でそうなる。   「・・・じゃあ行って」  彼はそう言った。  泣きながら。  違う。  違う。  欲しいのはそんな言葉じゃない。  少年は苦しい。  出ていけない、行きたくない。  でもここにいたら彼に酷いことをしてしまうのに。  「・・・君が、僕なんかいらないんじゃ、ないか」  声をあげて泣いたのは少年だった。  彼は呆気にとられた。  「僕は君としかしたくなかったのに・・・君が僕を嫌うから・・・僕がしたがるから、君が僕が嫌いになって、僕なんかもういらないのは君じゃないか」  ドアの前で少年は泣きながら言った。   子供の頃でも、こんな泣き方したことがない。  しゃくりあげ、ただをこねるように。  「僕は君だけが好きで、他の誰もいらないなのに」  少年はしゃくりあげた。  また泣き声が出てしまう。  彼はびっくりしていたけれど、少し笑った。  久しぶりの彼の笑顔だった。

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