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脱出 3

 マザーは重だるい身体を起こす。  自室のベッドに運ばれていた。  少年が運んだのだろう。  ため息をつく。  「すご・・・」  苦笑いをする。  久方ぶりに本当に快楽をくれる相手が現れた。  まさか、廃棄処分は免れ、こんなところにガキ達と閉じ込めてから、それを味わうとは思わなかった。  子供達には教えてないが、年齢を過ぎたセックスドールは廃棄となる。  内臓を抜かれ、売り飛ばされ、殺される。  マザーはマザーになることで廃棄処分を免れたのだ。  「とんでもない・・・ガキ」  呟く。  あれは自分達と同じモノとは思えない。   クィーンタイプは本来冷酷だ。  冷酷に快楽を貪る。  だけと、あの腰つきの冷酷さは自分達の比ではない。   あんな子供のくせに。  中で動くあの冷酷なまでの、貪り方を思い出しただけで中が疼いた。    「あっ・・・」  疼きに思わず声が出る。    この僕が。  いいようにされてる。  マザーは苦笑する。  ここに出入りしている、最初は自分を貪りに来ていたあの連中が今ではどうなってるか。  そんな自分相手にあのガキは。  マザーは笑う。     そっちはうまく言っていた。  昨日の男は跪いて自分を愛して欲しいと懇願していた。    マザーのつま先を舐めながら、必死で愛を乞う。  人形相手に。  今まで散々レイプしておきながら。  まあ、いい。  予定通りだった。  あの男達にあえて姿をさらしたのは自分だ。  指以外に自分を慰めるものが欲しかったし、何より・・・このままいつかくる廃棄を待つわけにはかいかなかった。  セキュリティーの連中は外と自分をつなぐ唯一のモノだ。   手中に落としておく必要があった。  いつまでここに居れる?  仕事に必要な基準を満たさなくなったとして、人形の仕事はなくなった。    廃棄の代わりに、この役目を得れた。    悪くはない。  むしろ、あの男達はバカだから可愛いし、ガキ達も嫌いじゃない。  それにあの子は最高の快楽をくれるし、下手すれば「仕事」していた時よりはるかに良かった。  でも、これもいつまで続くか。  マザーは考える。   自分の姿がまだ美しいうちに。  自分の最大の魅力がまだ使えるうちに。  ここを出なければ。  そのためならば何でもする。  どんなことでも。    マザーの部屋の電話が鳴る。  マザーは電話を取る。  「子供達は素晴らしいですよ・・・今回不合格は二人で済むと思います。皆、良い人形になる資質があると思います。・・・一人は性行為に嫌悪があるので・・・あれでは心が壊れます。長持ちしない。もう一人は素晴らしいんですけどね、今までの人形にはいないタイプで。・・・でも、ダメです。あれは誰の言うことも聞かない。タイプクイーンが傲慢ワガママだとしても、あれはそれを超えている・・・」   マザーはそう言った。  あの子は人形じゃない。  あんな人形などいない。    すごく楽しませてくれたけど。  すごくその身体が大好きだけと。  「あの二人は不合格がふさわしいですね。まあ、選抜で確かめて下さい」  マザーは言った。  電話を切る。    可哀想にね。  不合格になるなんて。  少し彼らに同情する。  「・・・いなくなるまでに、あの子ともっとしとかなきゃ」  マザーは呟いた。  それはそれ、これはこれ。  あの子のくれる快楽は大好きなのだ。  もっとももっと・・・欲しい。  穴がひくついた。  苦笑しながら、軽いオナニーをした。  また、あの子とはすればいい。  マザーは引き出しの鍵をあける。ノートをとりだす。  昨日男から聞き出したことを確認していく。  選抜の日はマザーにとっても・・・チャンスなのだった。

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