21 / 43

脱出計画5

  マザーはそして、思いついたようにニヤリと笑った。  「この子に手を触れられるのは嫌?」  振り返り、少年に言う。  白く細い彼の身体を撫でさすりながら。  感じやすい身体はそんな刺激にも反応して震え、彼は苦痛のように顔を歪める。  「・・・やめてくれ、お願いだ」  少年は懇願する。  これ以上は彼の心がもたない。  もう焼き切れそうになっているのがわかる。  このままでは彼が壊れてしまう。  「・・・じゃあ、この子の前で僕を抱きなさい。いつものように。いや、いつも以上に僕を楽しませて」  マザーは言った。   そう言いながらも、マザーの指は緩やかに彼を愛撫するのを止めない。    彼は喘ぎながら身悶えする。  その薄く閉じられかけた目に、壊れかけた心が見える。  彼は本当にもたない。  このままでは・・・壊れる。  彼は快楽を受け入れる位なら、壊れることを選ぶのが少年にはわかっていた。  「分かった・・・ご奉仕してやるよ」  少年は縛られ床に転がったままさけんだ。  マザーは笑った。  残酷に淫らに。  「ふふふっ、やっぱ・・り上手」  マザーは笑う。  股間にある少年の髪を優しく撫でる。  少年はマザーのモノを唇で扱いていた。  マザーは身悶える。  「・・・そう、上手・・ああっ・・・いい!」  マザーは声を零す。  すすり泣きぎ聞こえる。  彼が泣いているのだ。   彼はそのすぐ隣で目を閉じていた。  少年とマザーがいやらしく絡み合うのを見ないですむように。  マザーが命じたのだ。  ここにいろ、と。   「言うことを聞かないと、この子をヤツらを呼んで犯させてもいい・・・お前と一緒に」  そうささやかれたならば、彼は動くことなど出来なかった。  少年をそんな目に合わせるわけにはいかなかった。  少年がマザーを抱くすぐそばで、目を閉じすすり泣くのが精一杯だった。  「・・・いつもみたいに飲んで。口でしながら後ろも弄ってよ・・・」  マザーが少年に囁いている。  甘えたような声で。  「いつもみたいに」その声に彼は傷付く。  「僕とセックスしてたんだよ」そう言ったマザーの言葉に彼の心が血を流している。  「他の子とはしない」そう言ったのに、マザーとしてたのだ少年は。  その事実に心が焼かれる。  「いいっ・・・ああっ・・気持ちいいっ!!一一一一イっちゃう!!」  マザーが高い声をあげた。  少年の口の中に放ったのだとわかる。  「ふふっ、全部飲んだ?そう、綺麗に舐めて・・・。・・・ふふっ。いい子だね・・・ああ、こんなにガチガチにして・・・」  濡れた音。  少年の荒い息。  マザーが少年のものを指で弄っているのだ。  「どうしたの?・・・いつもみたいに僕の胸で遊べば?ここ、大好きなんでしょ。・・・好きだ、好きだっていいながら、ここに吸い付いてたじゃない」  マザーの声は甘い。  でも、その指が容赦ないのは、先程されたから彼も知っている。  少年が苦しげに喘いだ。  「面白くないね・・・いつもみたいにしないなら、ヤッパリお前じゃなくて、この子で遊べぼうか」  マザーはすぐ傍らで泣きながら目をとじている彼の髪を掴んで、顔を引き寄せ、無理やりキスする。  彼が呻く。  苦痛のように。  「止めろ・・・するから。するから」  少年が珍しく弱った声をあげた。  彼の顔を引き寄せたまま、マザーは離さない。  だけど、キスはやめた。  目を固くつぶった彼の耳のそばに、マザーの胸があった。  柔らかいモノが彼の頬に触れた。  少年の髪だとわかった。  マザーの胸に顔をよせているのだ。   軽いキスの音が聞こえた。  そこに少年は口づけたのだ。  彼の胸が痛む。  「・・・いつもみたいにして」  マザーが命じた。  「・・・君だと思って・・・してたんだ」  弱々しい声が彼の耳もとで小さく聞こえた。  力ない言い訳。  「・・・ごめん。愛してる・・・本当にごめん」  泣きそうな声だった。  泣いていたのかも知れない。  彼の耳もとで、淫らな音が聞こえた。   ペチャペチャと舐める音。  吸い上げる音。  「はぁっ・・・そう・・・上手。ホント、上・・手」  マザーがあえぐ。  彼の頭を抱えたままで。  彼のすぐ横に少年の頭があり、そこで少年がマザーの乳首を口で愛撫していることが彼にもわかっていた。  目を閉じるだけが精一杯。  耳をふさぎたいのに、手を縛られているからできない。  「あはっ・・・のってきたじゃないか・・・ふふっ」  マザーは笑いながら喘いだ。  「その子を離して・・・邪魔になるから」  少年は言う。  マザーが大人しく彼の頭を離したのは、少年の愛撫に溺れはじめたからだろう。  「・・・ここだけでイかせてやるよ。好きだろ、あんた」    少年は怒ったような声で言った。  そして、彼に弱々しく言った。  「愛してる・・・本当に愛してる」  少年の声は泣きそうだった。  マザーが笑う。  「ここまで、信じられない告白はないね。そんなに勃てて、他人の胸を弄りながらする告白なんて」  マザーは楽しそうだった。  「・・・うるさい」  少年は怒鳴った。    水音が聞こえる。  少年がマザーの胸を愛してる。   その唇で舌で。    「はぁっ・・・あっ、んっ」  マザーの声に余裕がなくなっていく。  「やっぱり、上手・・・あっ、やめないで・・・ふふっ」  マザーの声が甘い。  彼は苦しむ。  嫉妬で焼かれる。  少年がそこを慣れたように愛撫してるのが、いや慣れているのがわかる。  マザーも当然のようにそれを受け入れている。  何度となく繰りかえされてきた行為なのだ。  彼が少年にしてあげていた軽い愛撫など、これの前ではキスよ意味かないような、濃厚ないやらしさ。  これは繰り返されてきたことなのだ。  少年が興奮してるのはわかる。  荒い息遣い。  自分のがする手でする愛撫の時もこうなるから。  いや、彼がする時以上に少年は今興奮していた。  彼は人に触られるのは嫌だった。  少年の指さえ拒否した。  セックスドールになんかなりたくなかったから。  でも、今、少年が他の人を、目の前で抱いているのを見るのは・・・つらかった。    僕のなのに。  僕のなのに。  そう思ってしまう。  

ともだちにシェアしよう!