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殺戮 1

 その日、外から人々がやってきた。  10数人の人々。  3、4人位しか外からやってくるのを見たことがなかった子供達は緊張した。  しかもそのうち3人は美しいセックスドールだった。  選考のため、子供達はセックスドールとセックスするのだ。  セックスを知り尽くした彼等にその資質を確かめられ、合否を決められるのだ。  セックスドールをマザーしか見たことのない子供達は、現役のドール達にショックをうけた。  マザーは綺麗だ。  今でも綺麗だ。  でも、あまりも美しい青年達はまるで金粉を吹きかけられたかのように、艶やかだった。  それに、自分達のタイプ以外のドールを子供達は見たことがなかった。  タイプ「フェアリー」小柄でほっそりとした少女のようなドールだった。  大きな夢みるような目がこの世のものではないかのようだった。  非現実なセックスを現実にしてくれるセックスドール。  タイプ「エンジェル」中性的で、優しい姿のセックスドール。  清らかな姿は汚したくなり、そしてまた、清らかな姿から想像も出来ない程の淫らさを見せてくれるセックスドール。  タイプ「ヴィーナス」豪華な金髪。誘うような青い瞳。扇情的な白い肌、淫らな赤い唇。  その姿はセックスそのもので。  誘惑と淫靡な美しさで作られた、一番古いタイプであり、一番人気のセックスドール。  少年達のタイプであるタイプ「クィーン」だけはいなかった。  残酷、淫乱、傲慢。  一番ハマると抜けられないと言われている破滅の人形とも言われるタイプ「クィーン」だけはいない。  子供達を動揺させないように。  子供達を幼い頃から面倒を見てきたのはタイプ「クィーン」であるマザーだからだ。  唯一の禁忌。  子供達が唯一親と呼べるのは、マザーだけで、だからこそ、マザーとのセックスは禁忌だった。  だから、タイプ「クィーン」はいなかった。  それは、誰とでもセックスする子供達のたったひとつの禁忌だから。  ただし、それさえも少年は破っていた。     マザーを自分から犯し、マザーと関係した。   そこからマザーも狂った。  少年は今までのドール達とは違った。   マザーでさえ貪った。  本来はマザーは報告するべきだった。    なのに、報告を怠り、少年との関係を続けてしまった。  少年の危険さを組織に報告しないまま。    不合格がすでに決まっている少年と彼の二人だけはセックスドールとセックスすることはない。  彼等は他の子供達の選考が終わると、それを楽しみに来た組織の幹部達に犯される。  それから、二人はどこかへ「売却」される。  子供達は基本、ドールとして完成されるまでは大切に扱われる。  自分達仲間内でセックスを楽しむのは見逃されるが、選考が終わり、その身体を仕込み終わるまでは組織の幹部でも手を触れることは許されない。  その身体を仕込むのはマザーのように「仕事の基準を満たさなくなった」年齢が過ぎたばかりのドール達だ。  一晩で一般人の年収がなくなるような高額を稼ぎだす人形なのだ。  完成までは客をとらさない。  完璧に作り上げねばならないからだ。  完成しても組織の人間は彼等に手を出すことは基本的に許されない。  これはビジネスなのだ。  セックスドールに溺れては商売にならない。  ただ少年や彼のように、基準を満たさなかったものは別だ。   今日の選考の最後に、そのために来た連中にめちゃくちゃにされるだろう。  セックスドールと子供達のセックスを見て興奮しきった連中に。  出来損ないでもいいから、ドールとセックスしたかった連中に。  一度も使ったことのない穴を貪られて。  泣き叫ぶことさえ楽しまれながら。  

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