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殺戮 6
そして、マザーが飛び込んできた。
そして、呻き声と血に満ちた部屋を見て悲鳴をあげ走り去る。
待て。
待つんだ。
少年は被害者達に紛れて待ち続けることにした。
・・・ナイフは素敵だ。
でも今はナイフ以上のものが必要だった。
そして、ボディガードが現れたのだ。
今、ボディーガードを刺し、銃を手に入れた。
銃の撃ち方は知っていた。
この前セキュリティー達が自分を取り押さえる時に銃を構えるのを確認した。
安全装置の解除、構え方。
少年は一度見たものは自分の身体で再現出来る。
喉を斬ると、声もなくくずれおちたボディーガードのポケットから役に立ちそうなものを取り出す。
財布、携帯。
色々出てきた。
必要なものは貰う。
少年は横になったまま、肩を押さえている彼に声をかけた。
「・・・愛してる」
微笑んだ。
そして、意識がまだしっかりとありそうな、彼と自分のことをしゃべりそうなヤツらに次々留めをさしていく。
特に、自分を指差したヤツは最初に。
「・・・何故?」
彼が泣きそうな顔で言う。
優しい彼には受け入れられないことはわかっている。
「・・・コイツら最初から死んでるんだから、別にいいだろ?」
少年は言った。
人形として生きていくことになんの疑問ももたないのなら、人形を壊すように殺されていくことも受け入れられればいい。
大嫌いだった。
こんなところに閉じ込められ、セックスドールなんかにならなければならない世界が。
その世界になんの疑問ももたず、生きている奴らが。
その世界に疑問をもたないのなら、それはその世界に賛同しているのと同じだ。
そんな風に自分達を作った奴らと。
そしてそんな自分達を買う奴らと。
好きなのは、彼だけ。
彼だけ。
後は全員殺してしまいたかった。
「迎えに行くよ・・・迎えに行くから」
彼に囁いた。
そしてその手を握った。
大切なものを渡すために。
抱こう。
全部終わらせて。
自由になって
彼を抱こう。
少年はそれしか考えていなかった。
「助け、て・・・」
血まみれの少年がヨロヨロと入って来た時、さすがにボディーガード達は反応した。
3人は入り口へと走り、外を確認する。
襲撃者に備える。
当然の判断だった。
思いつくはずもなかった。
入ってきたのは幼いセックスドールだ。
セックスドールであるか弱い存在、自分達に従属しセックスするだけの存在が、自分達の敵であることなど思いもつかなかったのだ。
工場で作っている製品が、愛玩道具が自分達を襲うなど。
扉から身を乗り出し、外を確認しているその背中に銃が打ち込まれた。
少年は銃など撃ったことはなかったが、撃ち方は知っていたし、この距離からははずさなかった。
ボディーガード達は背中から撃たれ、倒れたところをさらに頭を撃ち抜かれた。
マットの上で、全裸のまま身体を寄せ合っていたドール達と、ドール達に弄ばれるはずだった子は悲鳴をあげた。
少年はドール達に近付いていく。
弾のなくなった銃を投げ捨て、ナイフを構えた。
ドール達は逃げることさえ知らなかった。
喉を斬られ絶命していく。
「何で・・・何で」
抱かれたこともある少年を見つめ、全裸のその子は泣いた。
その身体を味わったことはあった。
抱くために、甘い言葉を囁いたことがあったかもしれない。
良くは覚えていないけど。
何も答えず、少年はその白い喉を切り裂いた。
血が飛び散る瞬間がエロいと思った。
またズボンの中で出していた。
マザーが置いていった最初にセックスドール達ととセックスして気絶していた子も、刺した。
喉だけでなく、腹まで切り裂いたのは完全に楽しんでしまっていたからだった。
ドール達やその子を殺すのは良かった。
ボディーガードを、殺した時より興奮した。
白い肌を斬るのは愛撫するようで楽しかった。
時間がないのが本当に残念だった。
特に、大人のドールは少年から見ても綺麗で、じっくりゆっくり、斬りたかった。
ナイフをアチコチにゆっくり刺したかった。
それなら楽しかっただろうに。
穴にソレの代わりにナイフを入れることを考えたら、また勃起していた。
残念だった。
でも、止まるわけにはいかなかった。
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