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終焉 2

 「とんでもねぇガキだ」  ボスは笑った。  損失はとんでもない金額になる。  ドールを14体も損失したのだ。  だが、このガキは何だ?  何一つ持たないガキがそれだけのことをやってのけたのだ。  さすがに、今は殴られどつかれ、ガキの顔は腫れ上がっていた。  床に転がされていた。  本来なら犯されるはずだが、そうされなかったのはこのガキが死体を犯してたりするような変態で、自分を犯しにきた幹部を殺すような狂人だからだ。  噂にはもう尾ひれがついていて、幹部物は噛みちぎられた、とか握り潰された、その上殺されて、逆に犯された等と云われていて、さすがに少年を犯す気にならなかったらしい。  捕まえたら殺すな、と命令したのは興味本位で、それは見てから殺したかっただけだった。  でも今、ボスはこの少年を面白いと思った。  もっと早く連絡をくれれば。  と思った。  この少年が執着していたらしい幼いドールを利用して上手くこの少年を操れただろうに。  今この少年には弱点はない。  連絡が全て遅すぎる。  今回は全てが後手後手に回った。  結果、ドールの損失に繋がった。  死んだ幹部については丁度良かった。  ドールを犯しに行くような幹部はいらない。  たとえ廃棄品でも、売り物に手を出すヤツはいらない。  しかし、殺しすぎだ。このガキは。  ボスは思った。  ほぼ皆殺しだ。  少年は組織で飼うには危険すぎた。  本来ならば、ここで殺しておくべきだ。  だか・・・。  ボスは思った。  損失は少しでも補填しなければ  「クソガキ。人形以外の仕事をしてみないか」  ボスは言った。  このガキは金にはならない。  でも、少し鍛えれば・・・組織の敵を潰すには役に立つ。  「彼をくれる?」  少年は尋ねた。  あんな内臓を抜かれた死体をどうするのか、そう思ったが、少年の目の異様さに黙った。  「そろそろ体液が出てきてしまうぞ。臭いもひどくなるし」  ボスは言った。  そういう趣味は理解できない。  「・・・埋めてやるんだ。ちゃんと」  少年は言った。  もうする気はないらしい。  「なるほど」  ボスは笑った。  一時的に錯乱しただけか。  死体とするのが好きな殺し屋を飼うのはいただけないから、ホッとした。  ボスは少年を飼うつもりだった。   組織の殺し屋として。  「・・・飼ってやる、好きなだけ殺させてやるよ」  ボスは少年に微笑んだ。  少年は頷いた。    まだ知らなければならないことがあった。  一人でこの世界に立ち向かうために。  それを学ぶまでは・・・飼われてやってもいい。

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