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マザー 5

 二人は入って来た男に気付いたはずなのに、その行為を続けていた。  一人だけ、やけに大きい少年がいるのには気付いていた。  12才になる子供達の中で一人だけ15、6に見えた。  その子がその人をベッドの上で四つん這いにして、獣のように後ろから犯していた。  そして、その人は自分達には見せたことのないような顔をして、その行為に溺れていた。  だらしなく緩みきった淫らな顔。  少年はとても、そんな年齢の少年がしているとは思えない、淫らなねちっこい腰付で、その人の弱いところを擦りたてていた。  「ああっ・・・いいっ。上・・手・・そこ・・・好き・・・」  うっとりとその人は喘いだ。  男は絶句した。  まだ12才になるかならないかの少年とその人がしていたからじゃない。   セックスドールになる子供達が性に奔放なのは解っていた。  でも。でも。  これは・・・ダメだ。  少年達には親と呼べるものは、その人しかいなかったからだ。  幼い日から育てくれた、同じ遺伝子の。  「お手伝いさんもいてくれたけどね。子育てなんて・・・したことなかったしね。ホント、大変だった」  少しだけ話した過去の話でその人は思い出したように笑ったのだ。  そして、男は知っている。 その人が子供達を、愛しげに見つめることも。  その人が、この工場で子供達か少しでも楽しめるように気を配ってきたことも。  散々、犯した代償のように、その人に贈られるモノの中にはその人が欲しがるものもあった。  組織からは貰えない他愛ないカードゲームだったりした。   チェスだったり、モノポリーだったり。  子供達が楽しめるモノをその人は欲しがった。  そして、男に凧を作ってほしいと強請ったり、作り方を教えて欲しいと言ったり。  子供達と笑い声ながらその人が運動場で凧を揚げているのを男は見たのだ。  その人は子供達を可愛がっていた。  間違いなく。  「マザー」  子供達はその人を呼んだ。  その人だけだった。  その人こそが子供達の親だった。  だから・・・これたけは、有り得なかった。  これは禁忌だった。  これは親と子のセックスだった。  これは・・・いけないものだ。  でも、男はなぜか動けなくて。  二人のしていることを見続けてしまった。 「マザー・・・もっと気持ち良くしてあげる」   少年はその人の奥を味わうように腰をまわして、囁いた。  「・・・あんたが教えてくれたやり方で」  少年は囁いた。   一番奥を犯しているのだ。  少年の腰の動きにその人は背中を反らせた。  「・・・あっ、深・・い、そこ・・・」  その人は声にすらならなかった。  ベッドの上で身体を支えることも出来ず、崩れ落ちた。  ただ身体だけが何度となく震える。  イくのが止まらないのだ。  だらしなく口をあけ、涎をたらしながら、もう声さえでずにその人は震え続けていた。  「・・・死んじ・・ゃう・・・」  その人が呻いた。  「すごい・・・あんた、すごい・・気持ちいい」  少年も腰が止まらなくなっていた。  獣のように吠えていた。  二人のセックスは自分達がその人相手にしているものとはわけが違うのがわかった。  セックスドール同士が身体を重ねたらこうなるのだ、とわかった。  二人は狂ったようにお互いをむさぼりあっていた。  「マザー」  少年は呼ぶ。  少年はある意味、言葉通り母を犯していた。  母に近い存在はその人以外いなかったから。  そしてその人は自分の子をむさぼっていた。  男は「マザー」と少年を茫然と見つめ続けていた。  同じ顔をした二人が肢体を絡ませ合う。  二人の肌も髪も同じ遺伝子情報からつくられていて・・・。  それは・・・近親相姦だった。  それはあまりにも淫らで、あまりにもいけない光景で。  男は逃げ出してしまったのだった。

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