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第344話 宮ノ内のバレンタイン 7

「俺も霧緒と一緒にお風呂入りたいって思ってた。気持ちよく……洗ってくれる?」 って、直球で言えるかーーーー!!!! 恥ずかしくて恥ずかしくて!言いたいけど言えない! でも……お風呂……一緒に入りたい!! 暖かさが緩んできたとはいえ、日が暮れれば寒さは厳しい。 そんな誘われたら嬉しいけど、なんて返したらいいのか戸惑う。 「あ、あのさ。家に取りに行きたいのあるから一度帰るから。き、着替え……も……持参いたす……」 「……ぷ……おう」 わたわたと家に帰ってから、冷蔵庫にしまっておいたチョコレートチーズケーキを紙袋に入れた。 「詩ーこれ霧緒くんの夕ご飯作ったから持って行きなさい」 「はーい!」 「汁物は詩が用意してあげなさいね。詩の分も入ってるから、いっぱい食べなさいよ?」 婆ちゃんが作ってくれた、美味しそうな唐揚げと副菜が用意されていて、ボリュームたっぷりの量だ。 今日はバレンタインだから婆ちゃんは気を使ってくれたのだろう…二人分用意してくれた。 「あ、ありがとう」 「霧緒くんも今日で受験も終わりでしょ?はー私が何をしたわけじゃないけど、ホッとしちゃったわ。頑張ってたものねー」 「はは、そうだね」 「詩の愛で癒してあげなさいね!はいいってらっしゃい!」 !!! 婆ちゃん? どういうイメージでそう言ってんのかわからないけど!うちの婆ちゃんユニーク過ぎだぜ!! あったかいのと冷たいのと御着替えを持ちつつ、お隣さんへと向かった。 「お邪魔しまーす!」 霧緒の家のキッチンへ向かい、おかずを置いて、冷蔵庫に持参したチーズケーキをしまい、 「ん~汁物の具になるようなものはあるかな~」 大きな冷蔵庫の中を見渡しながら、夕飯のことを考えていた。背後から忍び寄る気配に全く気がつかずに……

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