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第343話 宮ノ内のバレンタイン 6
決して、モノに釣られたわけではございません。
これは、これ。それは、それ……
結局市販のチョコレートにチョコ味のアイスにと色々買って貰ってしまった。
俺が持っていたチョコ入りの紙袋は、今霧緒が持っていて本当に回収されてしまったのだ。
全部が手作りチョコとは限らないんだと思うぞ!って抗議したら……
「だ か ら…女から貰ったチョコ……食うのかって言ってんの…食うの?」
無表情でそう呟かれてしまい「食うよ!」って言葉が出てこなかった。
さっきは俺がプンプン怒ってたのに、今は俺が霧緒に脅されている状態だ。
ぐぬぬ解せぬ。
でも逆の立場で考えたら、やっぱり俺も同じ気持ちになるんだろう。チョコに罪はないけど、女から貰ったチョコを霧緒にも食べて欲しくない。
俺……愛されてるーって実感。
コンビニの袋を下げて二人並んで歩く。
「霧緒……」
「ン」
「試験お疲れ様~どうだった?」
「ンーまぁまぁかな」
「そか、やっと終わったなぁ受験」
「やっぱり解放されると嬉しいもんだな。疲れたし、腹減ったよ」
「はは……だよなぁ何かな?今夜の晩御飯は……ってなぁんか……匂う……甘い香り……」
クンクンと霧緒から香ってくる甘い香りが、直ぐにあの女の匂いだとわかった。
悪臭じゃーー!!!!!
あのアマ!いなくなってからも存在醸しやがって!!頭に来るぜ!
「あぁ……さっき腕組んできたし、やたらくっついて来たからそれだな。まだ香ってるな」
「帰ったら真っ先に風呂だ、風呂。風呂にはいれ!洗濯だ洗濯!!」
「そうだなぁ……久しぶりに詩と一緒に風呂はいりたいなぁ」
「え」
「やっと受験から解放されたし?これで我慢することも、お預けされることもなくなったわけじゃん?詩に隅々まで洗ってもらいたいかな。ご希望なら俺も詩の身体……綺麗に洗ってやるけど?」
「ひぃぃ……」
先ほどの怒りモードから、ぼふん!と一気に顔が真っ赤になるのを感じながらあわあわする。
どう返したらいいのかわからず、下唇を噛みながら大股に歩く。
そんなに優しい目で見られたら緊張するから……!
それに……それにその目エロいって!
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