343 / 506

第343話 宮ノ内のバレンタイン 6

決して、モノに釣られたわけではございません。 これは、これ。それは、それ…… 結局市販のチョコレートにチョコ味のアイスにと色々買って貰ってしまった。 俺が持っていたチョコ入りの紙袋は、今霧緒が持っていて本当に回収されてしまったのだ。 全部が手作りチョコとは限らないんだと思うぞ!って抗議したら…… 「だ か ら…女から貰ったチョコ……食うのかって言ってんの…食うの?」 無表情でそう呟かれてしまい「食うよ!」って言葉が出てこなかった。 さっきは俺がプンプン怒ってたのに、今は俺が霧緒に脅されている状態だ。 ぐぬぬ解せぬ。 でも逆の立場で考えたら、やっぱり俺も同じ気持ちになるんだろう。チョコに罪はないけど、女から貰ったチョコを霧緒にも食べて欲しくない。 俺……愛されてるーって実感。 コンビニの袋を下げて二人並んで歩く。 「霧緒……」 「ン」 「試験お疲れ様~どうだった?」 「ンーまぁまぁかな」 「そか、やっと終わったなぁ受験」 「やっぱり解放されると嬉しいもんだな。疲れたし、腹減ったよ」 「はは……だよなぁ何かな?今夜の晩御飯は……ってなぁんか……匂う……甘い香り……」 クンクンと霧緒から香ってくる甘い香りが、直ぐにあの女の匂いだとわかった。 悪臭じゃーー!!!!! あのアマ!いなくなってからも存在醸しやがって!!頭に来るぜ! 「あぁ……さっき腕組んできたし、やたらくっついて来たからそれだな。まだ香ってるな」 「帰ったら真っ先に風呂だ、風呂。風呂にはいれ!洗濯だ洗濯!!」 「そうだなぁ……久しぶりに詩と一緒に風呂はいりたいなぁ」 「え」 「やっと受験から解放されたし?これで我慢することも、お預けされることもなくなったわけじゃん?詩に隅々まで洗ってもらいたいかな。ご希望なら俺も詩の身体……綺麗に洗ってやるけど?」 「ひぃぃ……」 先ほどの怒りモードから、ぼふん!と一気に顔が真っ赤になるのを感じながらあわあわする。 どう返したらいいのかわからず、下唇を噛みながら大股に歩く。 そんなに優しい目で見られたら緊張するから……! それに……それにその目エロいって!

ともだちにシェアしよう!