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第347話 宮ノ内のバレンタイン 10

何がどうしてこうなった? … さっきまで普通に冷蔵庫を開けて無駄に冷気を流し、晩飯に使える材料がないかを確認していただけなのに、足元には脱がされたズボンと下着…頭の中は残り物の食材から恋人へと切り替わってしまい、あぁこれだけじゃ足りない!もっと欲しいよ!なんてことを考えてしまうエッチなもう一人の自分が興奮気味に騒いていた。 食を司る神聖な場所でしかも冷蔵庫お前っ!鏡過ぎだろっ! いつも汚すまいと気を付けてる指紋いっぱいつけてやるぞ!! こんなこんな恥ずかしい自分を見て興奮するなんて…あ、いや、まぁついつい興奮しちゃったけど、うっかりミスってことで…はひはひ乱れる呼吸を整えつつ変態霧緒を睨みつけた。 …無表情は相変わらずだけど、俺から見たらめっちゃ嬉しそうにして満足げだ。 …って!!! ぎゃー! 俺のあれがついた手を舐めんな!! くっそー! そんな姿もカッコいい…とかまた別の俺がキャー!キャー!言ってるよ! そりゃーね!俺の彼氏ですから? カッコいいの当ったり前じゃん!! … 「…ば、馬鹿…何やってんだよ」 順番ってもんがあるだろう… それに今日はバレンタインで…渡すものをまだ渡していない。 それに玲二と言おうぜ!って冗談交じりで約束したあのくっさいセリフ…「俺の事も食べて?」って言う前に食われそうになってる自分がいますけど、どうしましょう? 言った方がいいの? 今更だから言わなくていい? 玲二は菊池先輩に言ったのかなぁ…玲二君よ…キッチンで襲われたって言ったらどんな反応しめすかしら…あははあはは… 「詩に脱がされたらスイッチ入っちゃった。我慢できたくてごめんな?ってことでほら風呂行こうぜ」 額にキスをされて、足元に散らばった衣類を集めてくれる姿はほぼ全裸なんだけど、霧緒の身体は無駄なお肉はなくて腰も引き締まっていてスマートだ。 体形維持でたまに筋トレしているのは知ってるけど、色気のある身体をしている。じぃっと霧緒の身体を見ていたら、それに気がついたのか少しだけ照れた。 「受験終わったし、身体も鍛えないとな」 「…は?」 「無駄な脂肪がついた気がする。何かスポーツするかなぁ…」 「いやそういう意味で見てたわけでは…」 「萩生家の男としてはもっと筋肉つけないと、義兄さんたちに笑われるよな」 ??? へ?何を言ってるんだこやつは…

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