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第349話 宮ノ内のバレンタイン 12

「別にあの女から言われても、キモいだけだし?よくそんなヤバいセリフ言えるよなーって鳥肌立ったくらいだから」 「え、あぁ…そっすよね。くっさいセリフだもんな。ちょっと玲二とそんな話してさ、チョコあげるときにお互い言ってみようかー!って…ノリで話してたからさ!あ、大丈夫です!安心してください!言いませんから!」 「……何で?」 「……?」 んぁ? な、何故だろう…? 顔が… 顔が近い…濡れたイケメンの顔が俺に接近してくる… 「詩がそのセリフ言うんなら聞きたい。詩が言うなら絶対可愛いと思う」 「………え、あーと……キ、キモイし?ヤバくね?……」 「詩くんヴァージョンは別の意味でヤバいから…言ってみて?」 コッ…… おでことおでこが触れると、とたんに言おうとしていたクダラナイ冗談が、脳内から吹っ飛び何を言ったらいいのかわからないくなってしまった。 湯船で温まった身体が、更に熱くなる。 霧緒の手が、俺の太ももを優しく撫でるのにドキドキしてしまう。 あわあわしながら、お互いの沈黙は何秒くらいなのか? わからないがこれは恐らく俺待ち……俺のセリフ待ちだ。 あの女がどう言ったのかは知らないけど、世ほどのチャレンジャーに違いない。 負けてなるものか!!って謎の闘争心!! あーもう!濡れた睫毛…エロいってばよ…… 「あの……」 「…」 「えと…」 「…」 「」 「」 大接近中の霧緒の頬にキスをし、指先で濡れた前髪を耳にかけてやる…… 瞼にもそっとキスを落とし、間近にある無機質な瞳をじぃっと見つめ… 「お…俺のこと……食べても……いいぞ?めっちゃ…美味しいぞ?」 「…」 「…」 「ふ、……めっちゃ美味しい?」 「お!美味しいに決まってるだろ!当然!」 「……じゃ、食べるぞ。はい、あーん」 「あーん?」 !! がぶって息が止まるくらいのキスで口を塞がれて言葉が出てこない。 角度を変え、思い切り吸われて口内を舌が這いまわると、更に身体が火照りだす。 自分で言うのもなんだけど、湯船で程よく茹で上がった俺は、美味しいこと間違いなし!って思った。

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