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第355話 バレンタインの後 2

「だってそりゃだって、全然足りない……もっと先輩と一緒に居たいのに……詩達が羨ましい……妬ましいぞ!」 「うえ!」 そう言いながら、玲二がベッドの上にいる俺に覆いかぶさって来て、俺の首を絞め始めた。あ、勿論苦しくない程度に。 「キッチンなんてヤラしすぎるー!俺をトントン切って?とか言ったのかー!」 「い!言うかーーー!トントンって何だよ!玲二くんお気を確かにっ!落ち着けって!ほら、今度やってみたらいいじゃん?キッチンでイチャイチャ!あとはバスルームとかさ!」 「……え、何…詩たち……一緒に風呂も入ってるの?」 「」 「……死んだふりするなこら、吐け。萩生詩…」 「あーーーーーと…………はい……」 「どんだけーーーーーーー!!!!」 「わー!!そのセリフ古っ!あひゃひゃひゃあひゃ!やめろ!いひひひひっ!」 首を絞めていた玲二は今度は俺のわき腹をこちょこちょと擽ってきた!ヤバい!玲二くんがヤバい!っていうか擽ったい!! 玲二的には受験が終わったのに、なかなか菊池先輩と過ごす時間が無くて不満なんだと思われる。 それに引き換え俺と霧緒は、家が隣同士で家族ぐるみのお付き合いなので、気軽に一緒に過ごす時間はそりゃ沢山あるわけで…… そう考えると、玲二がとても可哀想に思えてならない。 好きな人と沢山の時間を過ごしたいって気持ち……スゲー良く分かるから。 どうにかしてあげたくなるけど、どうにもならないもどかしさ…… ん? あ、そう言えば…… 「あ!玲二!」 「……なんだよ」 「あれだよ!旅行!旅行行こう!」 「旅行?」 「そう!俺と玲二とさ!あと菊池先輩と霧緒の四人で一泊で温泉旅行とか!それなら菊池先輩と一緒に沢山いられるじゃん!」 「……旅行かぁ…いいなぁ……でも親が許してくれるかな」 「お世話になった先輩たちの卒業旅行ってことにしてさ!温泉!旅館!先輩と思いで作れちゃうぞ!」 そうだ!クリスマスの時に今度皆で行きたいって思っていた温泉旅行! 今まさに実行するときだと思った! これなら玲二も菊池先輩も楽しくて甘ーーい時間を過ごせ、ついでに俺たちもそれに便乗できて楽しい旅行になること間違いなしだ! 玲二を見れば、温泉旅行というワードを繰り返し呟きながら、一人で楽しい妄想にふけっているようだった。 顔がとってもニヤけていて、可愛いぞ玲二。 ……よーし!よし! 早速、霧緒に相談しよう!そうしよう!

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