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第366話 卒業10*

霧緒 触れるだけの可愛いキスを貰って、優しく唇を重ねた。 親……邪魔過ぎる!ウザい!というイラついた気持ちが後押しして、もっともっと欲しくて堪らなくなる。 舌を見せるように口を開ければ、真似をし同じようにする詩の舌に重ねてそれの弾力を味わう。 深いキスになればなるほど、詩の身体から力が抜けて行くので、抱えるように抱きしめやる。 帰り道……人目を気にしないでポロポロと泣いていた姿を思い返すと、いとおしくて……嬉しくて……たまらなかった。 卒業式だからといって俺は泣けないし、笑えない。 そんなことを素直にできる詩が羨ましいし可愛いと思う。 俺の代わりに感情をさらけ出してくれる詩が隣にいてくれて、それだけで今日は満足だ。 「……んン……」 ……これ以上したら詩が止まらなくなりそうだ。 キスだけで気持ちよくなってしまう恋人は、既に濃厚なキスによりヘロヘロに崩れはじめていてとても美味しそうだった。 もっと欲しいと訴えている潤んだ瞳が色っぽくて、リクエストに応えたくなる。 …… だけど、今日は無理だ…… 「……詩……ストップ」 「ン……へ?」 「続きしたいけど、あいつがいるからこれ以上は無理だ」 チュチュっと宥めるように唇を吸い上げると、その濡れた唇がツンと尖って不満げな顔になる。 だー!……俺だってそうだし!! そんなとろけた顔で見つめられたらいつもなら確実に気分のるし、お前の上にも乗りたいけどっ! あの女に少しでも詩の喘ぎ声聞かれるとか、エロ顔を見られるかもしれないとか、そんな可能性があるこの家では無理だしっ! 少し乱暴に詩の頭を撫でてあげ、柔らかな頬を両手でペチペチと叩いてやる。 いつもはここまでキスしてその後はお預けなんてないから詩を戻すのに苦労した。 「……うう……痛い……」 頬っぺたを引っ張り過ぎたのか、詩が両手で頬を押さえながら半泣きになってしまった。 「……やれやれ……悪い」 「……大丈夫。仕方ないのわかってる。……勿体ないけど……が、我慢する。学校から……卒業式から帰って来て早々エッチなんてあんまりだもんな」 ……まぁ、確かに…… そうなんだけど、不満すぎる!

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