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第367話 卒業11
「はぁ……旅行がめちゃくちゃ楽しみになってきたな」
「あはは……そうだね」
モヤモヤした状態なので、再熱しないようにソフトに抱き合う。
何とか落ち着かせたのに、またムラムラしてきたら意味がない。
……はぁ……不完全燃焼だよ……あんなに気持ち良かったのに……
仕方がないとは言え、こんなギラギラしたエロ霧緒を目の前にして!
これを味わえないなんて友子さーん!
あなたは罪なお方だ!
旅行は俺と玲二が春休みに入って直ぐだ。
なかなか二人きりになれない菊池先輩と玲二の為に企画した卒業旅行だけど、俺たちにとっても有難い旅行になりそうだ。
「ムラムラしてるからって、独りで抜くなよ?」
「え」
「……この続きは旅行で……しような?」
「……う」
「わかった?詩くん」
「う、うん……だけど」
え?旅行まで後二週間くらいあるけど、それまでエッチはお預けってこと?
しかもオナニー禁止って……え、つか毎週あなたとヤってるんだから、オナニーする必要ないし!
まぁ今のこの状態なら確かにムラムラが残っているから抜きたい気もするけど、それはするなってことだろう。
それって霧緒もってことだけど……俺の考えていることがわかったのか、霧緒が少し困ったような顔をした。
「まぁ、ぶっちゃけそれまで我慢できるか自信ないけど、明日から忙しくなりそうだから、目標として掲げておく」
「忙しくなる?」
「ん、夜のカフェのバイト入れたからそれに追われそう。」
「か、カフェ!!!しかも何で夜!」
「時給いいからに決まってんだろ。とりあえず短期契約で春休み中入れたから」
「そうなんだ……その店絶対夜人気でそう……」
「は?」
「……俺も行きたい客として行きたい……カフェオレ啜りたいわ~」
「いいけど、学校の奴らには言うなよ?絶対面倒くさいことになりそうだから」
「あはは、了解!おー!新人君頑張りたまえ!よいしょっと……んーーーー!」
ベッドから起き上がり、大きく伸びをした。
なんだぁ、夜は霧緒はバイトかー……そう考えると当然寂しいけれど仕方がない。
……またそこのカフェでモテモテになってしまうんだろうな……おう、そうなる運命なのはわかり切っている……カッコいいんだから仕方がない。
そう俺の彼氏はカッコいい!
そして我にも渡さん!!
「よし、じゃぁ帰るとしますか」
「おう……またな」
「ン」
今日は何を隠そう……って隠してないけど、霧緒の卒業式だ。
めでたい日なんだからこんな気持ちでいたらいけない。
寂しいけど明日からはもう一緒に登校してくれるキリ先輩はいないんだ……俺もしっかりしないと……
友子さんに丁寧に挨拶をして、俺は宮ノ内家を後にする。
外に出ると少し風が強く吹きはじめていて、先ほどよりも寒さが増した気がした。
うー今夜は冷えそうだなぁ……
なんとなく一年前、ここに引っ越してきたあの日を思い出しながら、俺は家路に着いた。
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