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第371話 卒業旅行4

玲二 …… ああ…… お、思いっきり寝てしまった。 しかも隣に座っている菊池先輩に寄りかかって…… 目が覚めたら笑っている詩の顔が視界に入ってきて、親友の顔をボーっと見つめてしまいここが車内だということを思い出すのに暫く時間がかかった。 「ご、ごめんなさい」 「大丈夫だよ~良く寝てたな」 菊池先輩の笑顔は優しい。 隣にいてくれるだけで嬉しくてドキドキする。 今日は卒業旅行で、明日までずっと菊池先輩と一緒にいられるんだ……そんな……そんなの贅沢過ぎる! 計画が持ち上がった段階から心が浮かれていて、本当に昨日は眠れないくらいワクワクしていた。 それなのにまさか車内でこんなに寝てしまうとは! 折角の大事な一時が勿体ない! 「何か凄い寝ちゃってすみません……もう着いちゃいますよね」 「そうだね、次で降りるよ。寝てなかったんだから、寝れるときに寝とかないとな?」 「……はい」 「今夜……のこともあるし?」 コソッと耳元で意味深に囁かれた言葉にドキッとしてしまった。 ……それってそれって……菊池先輩も、し……したいってことだよね…… カァっと頬が熱くなるのがわかった。 それを今回の旅のメインイベントとしてしまうのは不純過ぎるのかもしれないけど、やっぱりそれは僕も楽しみでどうしても考えてしまう。 ……それだけ菊池先輩のことが好きで……好きで欲しいって思ってしまうんだ。 恥ずかしいけど、色んなところ触って欲しいって思う……それに僕だって触りたい。 あの大きな手で指で唇で…… いっぱいいっぱい…… あんなとこ、こんなところに触れて気持ち良く….… 「屋内?聞いてる?」 「え!」 「ほら、もう着くぞ。荷物荷物」 「わ!」 いけない事を考えていたら、あっという間に電車はホームへ入っていて、皆は降りる準備をしていた。 慌ててリュックを背負って菊池先輩の後をついていく。 それからは計画していた通りに、四人で観光地を周りながら楽しい時間を過ごした。 沢山の観光客がいても、菊池先輩は背が高いからはぐれることはない。 っていうか人混みの中でもいつも隣にいてくれるから、とても頼りになるし、他の人にぶつからないのは、菊池先輩がいてくれるからだと思う。 「菊池先輩って、やっぱり目立ちますね」 「ん?そう?あ、それって俺しか目に入らないからじゃないの?まったく屋内ったら~!」 「……え、あ、そうか。……そうなんだと思います。今日の菊池先輩、とってもカッコいいし。あ!あの今日だけじゃなくて、いつも先輩はカッコいいんですよっ!」

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