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第372話 卒業旅行5

玲二 そう、菊池先輩はいつもカッコいい! 「あ、あのなぁ屋内……そんなこと言ったら駄目。威力強すぎだから……嬉しくなっちゃうだろ」 「だ、だって」 「何?俺、嬉しくてここで屋内にキスしても良いの?こんな沢山の人の前でしちゃう?したら注目浴びて大変なことになりそうだけど」 「え!キキ……キ……」 「ね?嬉しいけどあんまり煽ると……」 「……キス……したい……ですっ!」 「……」 「……あ!あ!でもここじゃさすがに恥ずかしいから。無理です……よね……」 「ちょ、ちょっと屋内、落ち着いて~」 「だ、だって!……今日は我慢したくないんです」 「……」 「今日くらい……いっぱいそういうのできたらいいなって思ってたから……」 人混みの中、どさくさに紛れて菊池先輩のコート端を引っ張り自分の想いを使えた。 もっと会えたらいいなって思う。 受験が終わって会える回数は確かに増えた気がするけど、正直全然足りない。 オンラインゲームで一緒に冒険する時間も増えて一緒にプレイして更に強くなったけど、まだまだやりたいことは沢山ある! 「はぁ……霧緒達とはぐれたな。まぁ、仕方ないか。向こうは向こうでラブラブなんだからな。こら屋内、ワガママ言わない」 「……すみません」 歩き始める先輩の後ろをとぼとぼとついていく。 そりゃそうだ、こんな場所でキスがしたいなんてワガママ過ぎる。 一緒にいれるだけでよしとしないといけないのに、僕ってばワガママを言って先輩を困らせてしまった。 「お、いいとこ見つけた」 そう言いながら入ったのは、狭いゲームセンター。 プリクラを撮るのに何組かが最新機種に並んでいた。 菊池先輩が向かうのは一昔前の機種で、奥まった場所に設置されていて、撮影スペースは年季の入った幕で覆われていて足元しか見えない…… 「あの……」 もしかして?って思ったらシャッと撮影スペースに入ったとたんにキスをされた。 唇が重なると同時に口内に滑り込む舌が熱い。 後頭部をがっしり大きな手で固定され、容赦なく舌が口内をかき回すので息が止まりそうになる。 でもそれに答えたくて自分も必死に舌を動かすけど、全然上手くいかない。 「……んふ……」 呼吸をするたびに変な声が出てしまい、それを聞くたびに羞恥で気持ちが高揚してきてしまう。 舌と舌がぬるりと重なり、互いの唾液が絡む。 「……今は……これが精一杯だけど、いい?」 「……は、はひ」 「んーまぁね、ワガママな屋内も好きだからさぁ。ほらちゃんと立って立って~おねだりするたびにこれだともたないぞ?まったく可愛いんだから」 ずれてしまったニット帽を直してもらい、ついでにその機種で二人でプリクラを撮ってしまった。 最新ではないけど、ご当地枠を使って撮った写真はとっても嬉しい。 さっきよりも完全に足元は覚束ない足取りで、僕はふわふわしていた。

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