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第383話 卒業旅行16 霧緒と詩
「あー温泉独特のこの匂いって俺結構好きかも」
「へー」
「こんな温泉がうちの風呂で毎日入れたらめっちゃいいよなーばあちゃんも喜ぶだろうなー」
「うん、そうだな……」
「……ちゃんと……聞いてますかー?」
「うん、そうだな」
「」
貸し切り風呂の脱衣所の籠が並んでいる棚の前で、俺と霧緒は向かい合っているんだけど、霧緒は俺の服を脱がせるのに集中しているようで、俺の話はほとんど右から左へと聞き流し状態だった。
俺の服を脱がすことか何が楽しいのかわからないけど、クールなお顔がニマニマしているので、されるがままになっているのである。
脱がした服を丁寧に畳んで籠の中へ納めるのを俺がやろうとすると、そこから動くなっていう指示が入る。
ならば俺も霧緒の服を脱がせてやろう!って思うのだけど、既に彼は全裸だったのでなーんも俺はすることがない。
「えーと楽しいですかー?」
「楽しいよ。詩、少し痩せたか?」
「んーわかんない」
俺のボクサーパンツを脱がし終えると、備え付けてある体重計に乗せられた。
「55,2キロ。……もう少し食った方がいいぞ」
「お昼も色々食べた気がするけど、結構歩いたしなぁ。夕飯楽しみだし!いっぱい食べる!」
「今夜もカロリー消費するから体力つけておけよ」
「な!」
色っぽい顔が近づいたかと思うと、そのままチュッとキスをされた。
下唇を吸われてぺろりと舐められる。
ロックオンされた瞳は妖しく揺らいで目が離せない。
下睫毛がエロいですって……
やばい……本日の彼は色気が駄々漏れで、直視するのは危険だと思った。
こらこらまだ湯船にも入っていないのに、ドッキドキしてどうするんですか?
目の前に全裸でいるカッコいい彼は、目に毒なのでちょっと規制をかけた方がいいかもしれないと思い、密かに視界にモザイク処理をかけてみる。
そうしないと俺ってまた暴走して、はしたないことをやらかしてしまいそうだからだ。
浴室のシャワーで霧緒に綺麗に身体を洗ってもらい湯船に浸かった。
わーん!
別に身体洗って!
なんて言ってないからな!
全部霧緒が段取りよく洗ってくれるからなんだぞ!
そのおかげで全身ぴかぴかになったけど、どさくさに紛れて俺のあそこもあっちも丁寧に洗われた。
泡立てた石鹸で優しく……
包み込むように……
時間をかけて……って!
そんなことされたら絶対反応するし!
つかそうなるようにワザとやらしく手が指が動くから、気持ちが良くてピクピクしながら射精してしまった。
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