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第398話 卒業旅行31 おかしな二人*

霧緒 「キリせんぱぁい!もう食べられませんっ」 「はいはい、もう飯は終わったからな」 「でももう一軒行きましょう~!」 「……」 隣の部屋から抱き抱えてきた詩はやはり酔っていて、部屋に戻ってからも俺にまと割りついて離れない。 腕にすりすり絡んできたり、背中に抱きついてきたりと普段はしないことをしてくるから、これはこれである意味嬉しかったりもした。 つまりあいつら外野がいなければ、詩のこの状態は有りな訳だ。 ひたすらふにゃふにゃと絡んでくる詩を胸に抱き止める。 「あひ~キリ先輩大好きぃ」 「ふーん……俺のどこが好き?」 「ふふふ や は り 顔でしょうなぁ」 「……あーそう……」 「それとぉ!困った時は助けてくれたりして?優しいし!頼りになるし!頭もいいときた!最高じゃないですかっ!」 「ん」 「へへへ……それにぃ……おっきいしぃ」 …… ……? 「……あー?んん?えーと……そのおっきいとは?」 「ぐふふそれはですなぁ!人としてですなぁ!尊敬できるっ!って言うおっきいです!」 「あーーそう……そういう感じのおっきいな」 「そうれす!伊達にエロい顔して生きてませんよ君ぃ!ぷぷぷ」 褒められているような馬鹿にされているような微妙な解答だけど、詩なりのユーモアある褒め言葉として受け取った。 清潔な布団の上に胡坐をかく俺の胸に赤い顔を押し付け、うっとりとした表情で見つめてくる。 ……か、可愛い。 いつもは恥ずかしがってこんな表情しないから(大体口を尖らせて下手に誘ってくるパターンこれも好きだけど)こっちが戸惑ってしまうくらい今の詩の状態は甘い。 動くたび少しずつ開けていく浴衣がまた悪戯するように絶妙な効果を発揮しはじめ、お互いの肌色が増えてく。 詩がちょこんと小首をかしげると、うなじから鎖骨にかけてのラインが綺麗に見え、どうしてもそこに目がいってしまう。 ……やっぱりこいつのうなじは好きだ。 その首筋に指先を這わせ軽くなぞると、さも気持ち良さそうに目を細めて微笑む…… その色っぽい表情といったら……! お前そんな顔できたんですか?って内心呟き、ゴクリと生唾を飲み込んだ。 身体の内部がジワリと疼きだす。

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