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第400話 卒業旅行33 おかしな二人 *
霧緒
「っあ……気持ち……い……」
「何……大人なことしたいの?」
「……う、うん……したい」
胸の刺激に素直に反応し、この先の行為もしたいと恥ずかしげな顔しておねだりしてくる。
詩がスルリと両手を伸ばし、俺の頬を包み込むように優しく触れ、こめかみから額前髪をゆっくりと撫でていく。
なかなか人に撫でられることがないので、くすぐったいような気持ちにさせられるけど、ほかでもない詩がしてくれるなら嬉しいし心地よい。
いとおしさが込み上げてきて、思い切り抱き締めてしまう。
身体を密着させ全身で体温を感じたいし早くひとつになりたかった。
滑らかな肌は少し汗ばみ吸い付くようだ。
「うた……」
「……」
抱き締めたまま体勢を変え、詩を布団の上に寝転がせ、その額やふわりとした髪にキスを落としていった。
何回キスをしても飽きることはない。
キスがこんなにも気持ちいいものだと詩が教えてくれた気がする。
触れ合うだけの軽いキスも、深い濃厚な大人のキスもどちらも甘くもっと欲しくなる。
可愛らしい唇にゆっくりと唇を落とした。
まだ濡れていない唇をこれからどうやって堪能しようかと思案しているときにふと気が付く謎の違和感。
?
「……おい」
ちょ……
まさかのまさかか?
さっきから詩の反応が返ってこないと思ったら、嫌な予感は的中。
スーーー
なんと小さな寝息が聞こえるではないか……
……
ちょっと……待てーーーーーーーーーー
こんなことってあるか?マジかよ……
目の前の美味しそうな恋人がさも幸せそうに、スースーと寝ているではないか。
ペチペチペチペチ
「おい、詩!起きろ」
「……」
これからこれからって時に何で寝るんだよ!頬を叩いてみても起きる気配はない。
アルコールの効果なのか、まるで電池が切れたオモチャのように突っついても叩いてもピクリともしない。
……盛り上がった俺の下半身をどうしてくれんだよこのアホ!
あんなあんなエロ気全開で俺を誘っておいて!
結婚しようか言っておいて!!
まさかの放置!!
しばらく頭の中は真っ白。
泣きたい気持ちを堪え、仕方なく部屋の灯りを消し、寝ている詩の隣に横になる。
……せ、切なくないか俺。
アホ面の詩の前髪を撫でながら無言でその寝顔を見つめた。
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