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第401話 卒業旅行34 おかしな二人

「ん……」 重たい瞼を開け、しばらく暗闇の中ボーっとする。 ……? あれ、ここどこ? 家……じゃないし、霧緒の部屋……でもない? 脳がなかなか仕事をしてくれないので、寝返りをうち薄暗い部屋の様子を確かめた……ら、何かに身体を引き寄せられ急に身動きがとれない。 うわ……なんだ!って思いつつこの感覚とふわり香る恋人の香りにクラっと来てしまう。 俺よりも筋肉のある胸板は滑らかで色白で色っぽく、どうやら裸で抱き締めてられていた。 そしてなぜか俺も裸っぽい。 え、何でどうして? そうだ、ここ旅館!皆で旅行に来て皆で晩御飯食べて、それからそれから?どうなった? 思い返してもそこからの記憶がない。 とりあえずここは旅館の部屋で、霧緒と一緒に布団に入っており、裸で抱き締められているということだ。 え、もしかしてエッチしまくった?その後? だけどそれにしては身体はだるくないし、ツラくない…… 良くわからないよー! 目の前には超かっこいい寝顔があるので、その顔をじっと眺めながら、何がどうなってこの状況になっているのか一生懸命思いだそうとした。 ……う~む…… さっぱり思い出せん。 やはり目の前で寝ていらっしゃるこの方に、素直に伺った方が良い気がする。 だけど……それも……気が引ける…… なぜなら俺が何かやらかした気がしてならないからだ。 そう思ったら起こす勇気なんてこの俺にはない。 控え目に霧緒の頬をそっと撫でてみた。 ……相変わらず整った綺麗な顔……顔のパーツ全てが俺のとは全然違う。髪はサラサラだし…… 起きる気配はないので、そのまま綺麗な唇にも触れてみる。 少しカサついた唇は柔らかくて温かい。 何度も何度もキスをした唇だ。 少し薄い唇に触れていると、自分の内側が温かくなり切ない気持ちになってくる。 ……霧緒ってやっぱりかっこいいなぁ。ついついジィっと見詰めてしまう。 好きだなぁ。 キス上手いしなぁ…… いつもキスだけで気持ち良くなってしまい、どうにかなってしまいそうになる。 ……ってそれだけで、キスだけでいつも感じちゃって勃ってしまうんだけど。 それってちょっと恥ずかしい。 うう、素直な身体~!

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