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第413話 卒業旅行46 可愛い二人 *

霧緒 「心配して損したって感じ?」 「ん?何お前が?」 「お前だろ」 「……」 「……」 「ま、良いけど~お互い様って事にしとくか」 「はぁ……まさか宗太と鉢合わせするとは思わなかった……」 詩と屋内が一緒に貸し切り風呂へ行ってから、何だか落ち着かない…… ぶっちゃけ、詩の事が気になって居ても立っても居られず、自分も一風呂浴びようかと思い部屋を出た。 …… で、出たところに宗太がいたというわけだ。 「……まぁ、俺は?霧緒くんが部屋に残されてひとり寂しく過ごしてるだろうから風呂にでも誘ってあげようかなってねー!」 「へー焦って見えたけど?」 「それお前だっ!ドアから出てきた時のお前の余裕ない顔!撮っておきたかったわー!」 「……うるせ。はぁ、旅行最後の風呂がまさかお前と一緒だとは……」 「はは、確かに!こんな締めくくり予想してなかったわ。デカいの二人だと風呂が狭く感じるー」 「ま、良いけどな。……そういや宗太と一緒に風呂入るなんてはじめてだよな」 「そうかもね。あーいい湯だわ」 図体でかい男が二人で貸し切り風呂に入っているのもおかしい……そう思いながらも暫く心地よい温泉に身を任せた。 見れば宗太はご機嫌で、鼻歌まじりに露天風呂を堪能中。 中学からの付き合いのこいつとは、大学は違うけれど、この先も良い関係でいたいと思う。 俺とは違い、周囲に気を配ることができ、誰とでも信頼関係を築くことができるこいつは、俺が尊敬する数少ない人物だ。 思い返してみれば宗太と一緒にいる時間は長く、いつも傍にいてくれた…… 「……ま、こういうのも悪くないからいいか」 「え……何、霧緒さん?俺に惚れた?」 「バーカ、自惚れんな」 「それよりも霧緒……そんな色気ムンムンで、萩生のこと襲ってんの?こっわーい!」 「まさか……お前相手に色気なんて出すかよ。つか襲ってねーし」 「……ふーん」 「詩だけにはフルパワーで垂れ流すけどな。あいつそういうの鈍いから、Maxでいかないと駄目なんだ」 「イヤー!フルパワーってどんなだよ!モザイクだなモザイク!」 「あんまりデカい声だすな。気づかれるだろ」 「悪い悪い、さてもう出るか……ん?」 チャッポーン 「ねー詩、そういえばさぁ」 「んー?何?」 「僕、詩先輩に聞きたいことがあるんですけどー」 「お?なんだね玲二君。詩先輩が何でも答えて……」 「詩ってさ、フェラっていつもしてもらってる?あれってさ、してもらっていいの?」 「ぶーーっ!!!」 「ねーねー詩先輩!教えてー!どうなのー?」 「え、え!えーーとですなぁっそれは……」 「……」 「……」 …… その後の展開がどうなったかは、皆様のご想像にお任せいたします。 …… やれやれ…… 俺じゃなく詩に聞いてくれ。 何はともあれこの卒業旅行を堪能できたことは言うまでもないし、親友ともそれぞれのパートナーとの関係も、一層深まったと思う。 三年間の高校生活が終わり、また新たなスタートラインに立った気持ちだ。 ……意味のない高校生活が、一人の人物のおかげで一変し、最後の一年間が濃密であっという間に駆け抜けていった。 恐らく人生で一番かけがえのないものを手に入れることができたと思う。 あまり言いたくないし信じてないけど、詩との出会いは運命なのかもしれない。 自然体で俺の隣にいてくれて、自分の事しか考えていなかった俺のことを変えてくれた。 靄がかっていた視界が晴れ、周りを見渡せるようになれたのは詩のおかげだし、家族というものが何か教えてくれ、母親とも向き合うことができたと思う。 見つめると未だにあわあわ焦りだす、この恋人が可愛いくていとおしい。 ずっとずっとこの先も共にいられるよう、詩の心を掴んで離さない良い男になりたいと密かに誓った。

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