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第414話
まさかあの時、あの貸し切り風呂のとなりに霧緒と菊池先輩が入っていたなんて思いもよらなかった。
……そりゃね、そりゃエッチの先輩としてこの萩生詩!玲二にきちんと言いましたよ?
はい、恥ずかしいけど言いました!
なんて言ったのって?って……え、えーと俺的な感想を?
だって玲二のあの真剣な瞳……あれに見つめられたら答えずにはいられないんだよ?
それによって?
あっちには一時微妙な雰囲気が出来上がったみたいなんだけどね?
俺と玲二は当然わからないわけさ。
つか、なんで隣に入ってるんだよ!
おかしいだろ!!
は、恥ずかしいだろっ!!!
「……って今思い返してもハズイ」
「……ちゃんとあの時、アドバイスしてたじゃん。ウ タ せ ん ぱ い ?」
「Noーーー!!!」
楽しかった卒業旅行も終わってしまい、俺の家で霧緒とゴロゴロ……
ではなく!
今日はこれから二人でお出かけだ。
春休みデートを楽しむんだけど、
実は今日3月24日は俺の誕生日だったりする。
あまり言ってなかったけど、霧緒はちゃんと覚えてくれていたみたいだ。
ふふふふ……嬉しいなぁ!
「顔ニヤけてる……」
「いやーそんなわけありませんよ」
「旅行の時にお祝いできたのに」
「ダメダメ。そんなことしたら卒業旅行じゃなくなるだろー」
「……まぁそうだけど」
「霧緒が祝ってくれるからいい」
「……ん」
「へへへ」
「……今日出かけるのやめて、部屋でヤりまくるってのもありだよなぁ……」
「え」
「ま、今日は天気いいし行楽日和だしな。帰って来てからでいいか」
「お、おおおう」
相変わらずのエロい視線。
色っぽい瞳は無機質だけど、最近は柔らかく優しくなった気がする。
その瞳で見つめられるとドキドキしてくるのはいつものこと。
今日もカッコいいです!俺の彼氏~!!
大好きーーっ!!
「詩、誕生日おめでとう」
「へへへ……ありがとう!」
チュ
玄関先で交わす軽いキス。
へへへ……
嬉し過ぎて顔がどうしてもニヤけてしまう。
楽しかった旅行が終わっても、こうしてまた嬉しくて楽しい出来事が次々とあって、その先もずっとあるんだと思うとワクワクしてくる。
勿論現実は楽しいことばかりじゃないってわかっているけど、霧緒がいてくれたらツラいことも乗り越えて行けるって思うんだ。
きっときっと大丈夫。
俺も頑張ろう……
まだ高校生だしガキだし勉強苦手だけど、自分なりに考えて立派な大人になりたいって思った。
大好きな愛しい人に置いていかれないように!しがみついていかないとっ!
エイ!エイ!おーーーーー!!!!
「何してんだ。ほら、行くぞ」
「うん!」
明日も明後日もその先も、俺と霧緒の毎日は続くけど、皆さんとは暫くのお別れ。
ン?
お別れって言うのかな?
再開する時は、今よりもぐぐぐっと!成長してる詩くんをお見せできると思うから、是非楽しみにしていておくんなしっ!!
もっかい言う!頑張るよーーーーー!!!!
それじゃ!デート行ってきまーす!!
「ウタくンとキリ先輩。」 一部おしまい
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