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第415話 二部 ウタ先輩とヨイチくん。

*********** 俺は篠島夜壱(しのしま よいち)15歳。現在中学三年生。 進路に悩むことは誰にでもあるんだろうけど、俺もその一人。 どこの高校に進学するかは自分次第だよね。 親は色々と言ってくるけど、結局行くのは俺なんだしなぁって思う。 どこの学校に行くかで将来が決まるとか言ってくるんだぜ?え、将来ってそんな感じで簡単に決まるの?俺のこと心配して言ってるんだろうけど、ハッキリ言ってウザイ。 実際学校見学や説明会に行ってるよ。でもピンと来る学校はなくて、担任の先生もソワソワし始めた。 だけどピンとくる学校は未だ見つからず。こうなったら家から一番近い高校でいいかみたいな気持ちになってきた。 そこは公立で歩いていける距離だし、親の財布にも優しいだろう。 けどそう言ったら、あの学校は偏差値がどうだとか、進路先がなんだとかで逆に怒られ、また白紙に戻されてしまった。 おいおいざけんな、行きたいところがねーんだよ!そんなのもうどうでもいいんだけど。 俺的にそこで決まりかけていた時、友達にある学校の学園祭に誘われた。 面倒くさかったし、気は乗らなかったけど、行こう行こうと煩く言われて半ば強引に…… その私立校は昔は女子高だったらしいけれど、現在は共学に変わったらしい。 偏差値は範囲内で口コミも悪くない。 学園祭は予想通りって感じだけど、友達は興奮気味で酷く喜んでいた。 三年のクラスがやっているお化け屋敷や迷路とかは人気で待ち時間が長く、うんざりしたけどそれなりに手が込んでいて、迫力もあって楽しめた。 「あーやっぱここの学校良いな~」 「…………そう?」 「うん。親からもOK出てるし、推薦ここに決めよっかな~。女の子も美人が多いし~」 「ふ~ん」 「よっちゃんは……どうするの?」 「俺は……ないよ。ここ、私立だろ」 「そうか~。よっちゃんと行けたら最高だったんだけどなぁ」 二階の廊下はテンション上がった人たちで、わいわいと賑わっていた。 仮装やら劇の衣装だろうか、様々な衣装を着た生徒が行き交っていて、それはそれで見ていて楽しいと思った。 高校生って、やっぱり大人だよな~。 男子も女子も中学生と比べて体格やスタイルが違うから、自分が幼い子供に見えてきてしまう。 来年の俺の高校生活ってどんな感じなのかな…… サッパリイメージできない。 廊下で友達と二人、アメリカンドッグを食いしながらぼーっと校内の様子を眺めていた。 そんな時だ。 「きゃーーーーー!!」 興奮気味の女子たちの声が聞こえた。 「先輩来た!来たよ!!ヤバいあれヤバい!!」 「めが!眼鏡かけてるんですけどー!超カッコいい!」 ……お?なんだなんだ? この学校で人気のイケメンのお通りって奴か? どこの学校にもいるよな~そういう奴。 俺もイケメンって言われることあるし、どれくらいのレベルの奴か少し興味が沸いてきた。 ザワツク廊下の向こうからそいつがやって来るらしいので、一目見てやろうと思った。

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