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第418話

そんなカリスマ的存在だった先輩の一人、宮ノ内霧緒は俺の恋人だったりする。 あ、知ってるって? あはは……そうだよね! 男同士だから、大きな声では言えないけどね。 そんな先輩達も卒業してしまい、もうこの学校にはいないんだけど、未だに先輩たちを惜しんで嘆いている女子がいるらしい…… 「うん、連絡たまにとってるよ。大学始まって忙しいって」 「へー!そっかー!いいよなぁ~あんなにカッコよくて、頭もいいんだもんなぁ」 「へへ……そうだよなぁ~~へへへ……」 「……顔が緩んでるぞ~萩生」 仲島のツッコミで、自分の顔が緩んでいたことに気がつき、慌てて両手で頬を引っ張った。 仲島はそういうとこ、普通に突っ込んでくるから危ない危ない。 まぁ、まさか俺と霧緒がつき合ってるとは夢にも思っていないんだろうけどさ。 「ねぇ!詩く~~ん」 「うん?」 クラスの女子に声をかけられ、仲島との話は中断してしまった。 新しいクラスの女子たちは、まだ全員覚えきれていないんだけど、前のクラスと比べて落ち着いた雰囲気の子が多い気がする。 それでも話を聞いていると、カッコいい男子情報とか、恋の話が多いことは変わらないみたい。 「あのね。私の友達が詩くんと一緒に写真撮りたいんだって~いいかな~?」 「え、まぁ……いいけど」 「やったー!ありがと!じゃ!昼休みにね~」 「はーい」 ……? 一年の時と変わったことと言ったら、やたら女子に声をかけられるようになった。 女子と話をするのは全然嫌じゃないんだけど、写真撮ってとかメッセージ繋がりたいとか? ……こ、この間は………告られたし…… そういう感じのやつが増えた気がする。 何が起こったのか全く分からないけど、玲二に言わせると、今の俺はモテ期らしい。 去年一度、告られたことがあって、その時は奇跡だと思っていたけど、その後も奇跡が続いているらしい。 だけど俺は正直に言って困っていた。 ……だって、それに応えてあげられない。 好きな人がいるからって断ったけど、なんだか申し訳ない気持になってくる。 こんな俺なんかよりも、もっとカッコいい奴がいるんだから、そっちを好きになって欲しいなとか思ってしまう。 ……きっとイケメン先輩が一気に二人もいなくなって、こんなおかしな現象が起きているんだ。 ま、どっちの先輩にも、恋人いるんだけどねー!

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