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第426話

「人の心配するより、自分の心配しろ。スゲー顔してるぞ」 無表情な顔は恐ろしく整っていて、ずっと眺めていられそうなくらいカッコいい。 そんな彼は、おかわりのスポドリをコップに注いで手渡してくれる。 それもキレイに飲み干すと、やっと身体が落ち着いた気がした。 「はぁ~~生き返った。……霧緒は学校終わったの?」 「今日は午前だけだったからな。……今3時だけど、昼飯まだだろ……食えそうか?」 「うん……だけど、その前に着替えたいかな……汗掻いて濡れて……気持ち悪い……」 そう言いながら、パジャマのボタンを上から順に外していくと、 「……何だか……誘われてる気分になるな」 「…………へ?」 「イヤ、何でもない」 いつもの俺なら、ちゃんとしたリアクションで返せたんだろうけど、何せ今は熱のせいで余裕がない。 風邪を引いて熱でほかほかになってる病人を見て、誘われてるって思うのは霧緒らしいと言えば霧緒らしいけど。ま、誘ってないけどね~。 脳内はエロ寄りだけど、着替えを用意してくれたり、手伝ってくれてるところは普通に優しい彼氏さんで、素直に嬉しい気持ちになる。 着替えも……お願いしてないけど、手伝ってくれるし。 「……確かに結構汗掻いたな。このままなら明日は熱下がるかもな……」 「ン……そうだといいんだけど………ン……」 「本当……熱い…………」 着替えをさせてくれている霧緒の手が、俺の湿った肩に触れ、そのまま背中をゆっくり撫でていき、お尻までもナデナデされる。 太ももまでお触りするのってさすがにおかしいですよ? そういうのって、着替えに関係ないんじゃないかな~? 「……あんのぉ~」 「どこも熱々で触り心地がいいな。……よし、OK。ばあちゃんに言って飯用意してもらうから、それまでちゃんと寝てろ」 「うん……ありがと……」 変えのパジャマに着替えて再び布団の中へ入り横になると、身体のだるさが良く分かって一気に脱力感に襲われる。 布団の隙間から手をひらひらと伸ばすと、きゅっと握りしめてくれた。 「やることあるから帰るけど、バイトの時間まで家にいるから。何かあったら直ぐに呼べよ?で、ちゃんと食べて薬飲んであったかくして寝ろ」 「ふぁ~~い」 頭をよしよしと撫でもらうと、嬉しくてちょっと泣きそうになった。 熱がなかったら抱き着いてキスをおねだりしてるだろう。 弱っているときに優しくしてもらうのってマジヤバい。 大好き大好きって叫んでしまいそうだー! 立ち去る霧緒の後姿を見ながらデレデレしている俺がいた。 それからは、ばあちゃんが作ってくれた卵粥と大好きなアイスクリームを食べてぐっすり寝た。 ひたすら寝たおかげか、次の日には体温も下がっていて、大分良くなったみたい! あー!やっぱり元気が一番!

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