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第427話
風邪は休日中にすっかり治ったので、月曜日はいつも通り学校に行くことができた。
できたけど、せっかくの休日が体調不良で台無しになってしまい、霧緒と一緒にゆっくり過ごすことが出来なかったのがとっても残念。
予定だと霧緒のバイト先に行って、お茶してから一緒に帰ることになってたんだけど、それは延期になってしまった。
霧緒がバイトしているカフェは、うちから駅に向かう途中にある。
お洒落で落ち着いた感じのお店で、珈琲はもちろん、サンドイッチがオススメみたいで人の出入りは割とある方。
それにやっぱりと言うか、霧緒がバイトを始めてから、夜にいるカッコいい店員さん目当てに通う女性客が増えたのは事実みたいだ。
短期バイトのはずが、マスターに引き留められ泣かれて、大人の交渉の結果、継続することになったらしい。
長期でもできるかもと迷っていた矢先だったから、霧緒にとってもタイミングが良かったらしく、時給もアップで本人はニヤニヤしていた。
お店に霧緒目当てに来るのは構わないけど!目の保養くらいならいいけどさ!って、そう思ってみるけど、やっぱり面白くはない。
そんな奴らに、こいつは俺の彼氏なんだぞ!ってきゃんきゃん言ってやりたいのが本音だった。超自慢したいけど、そんなことしたら怒られるだろうからしないけどね~。
それは心の中で叫ぶとして、面白くはないけど、カフェで働いている霧緒の姿は確かにカッコいいし、女子が通いたくなる気持ちも分からなくはない。
ふふふ……その働いている姿をカフェラテ飲みながらこっそり眺めるのが至福の一時。
……ま、まだ一回しか行ったことないけど。
そんなことを考えながら登校していると、
「は、萩生せんぱーーーーーーーい!」
「え!……誰?」
後ろから声をかけられて振り向くと、走ってくるのは、新入生の篠島くんだった。
スタイルがいいから、走っている姿もカッコいい。身長は俺よりも高いし、美形だから走る篠島くんはとっても目立っている。
「おは……」
「か、風邪引いたって!!萩生先輩大丈夫ですか!すみません!お、俺のせいですよね!!あ!おはようございますっ!!」
「っと~~おはよう。えっと、風邪は引いたけど、篠島のせいじゃないよ、気のせい。うん」
「イヤ!俺のせいですよ~~絶対」
「んなことないよ~!つか、もう元気になったし~?全然大丈夫だから!ほらほら気にしない気にしない!」
「……元気になって良かったです。先輩休んでって聞いて、俺マジやらかした~って思ったから……」
「あはは!やらかした~って俺も良くやらかすから!って言うか俺こそこんなタイミングで風邪引いちゃってゴメンな!篠島に心配かけちゃったよな」
「……そんな。萩生先輩はどれだけいい人なんですか」
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