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第429話
夜壱
や、や、やったー!!!
朝から最高だ!
まさか萩生先輩と会えるなんて!
通学路で先輩の後ろ姿見つけた時は、心臓がドキンとして息が止まりかけた。
勇気を出して声かけて良かった!
先輩の具合はすっかり元気になったみたいで安心したけど、風邪を引いたのは俺のせいなのに、それについて責められなかった。
逆にこっちの心配をしていてくれたなんて優しすぎる!
並んで歩く先輩は、俺より少し背が低い。
170cmって言ってたけど、細身のせいかそれよりも華奢に見えた。
サラふわな髪が柔らかそうで、頭を撫でてみたい衝動に駆られるし、爽やかないい匂いがする。
先輩は俺のことをモテそうって言ってたけど、先輩だって普通にモテるんだろうなって思った。
本人は否定してるけど、目がくりっとしていて可愛らしいし顔してるし、明るい性格で声もかけやすい。
その証拠に、さっきから色んな奴に挨拶されてるし、してるし。
学園祭の時はチヤホヤされてたから、もっと調子に乗った先輩かと思ったけど、その辺の印象は違った。
こんな一年の俺にも、気を使ってくれていて嬉しい。
あの着ぐるみに、この先輩が入ってたなんて可愛すぎじゃね?
それにメイド服も着てたって誰かが言ってたけど、それを思うとどうしても先輩の体系をジロジロと見てしてしまう。
男だけど、細いから似合ったのかもしれない。
メイド服姿見たかったなーーー!
萩生先輩との登校の時間はマジ至福のひと時で、あっという間に学校へ着いてしまった。
学年も違うし、共通する部活でもないからまたいつ先輩と会えるか分からないと思うと、これでバイバイなんて切なすぎる!
俺はもっと先輩と仲良くなりたい!
「あ、ああの!先輩のメッセージ何ですけど!聞いても良いですか!?」
「え」
「あ!フレンド……なんですけど……よよ良かったら交換……」
別れ際に思い切ってメッセージ交換を切り出してみたけど、緊張してスッゲー言葉がカミカミになってしまった!
「うん、いーよー」
素早くスマホを取り出して、フレンドを登録し合うと先輩は手を挙げて笑顔で「じゃ、またなー!」って言ってくれたのだ。
「またなー!」ってことは、また会おうなってことですよね!萩生先輩っ!!
思っていた以上に嬉しかったのか、スマホ片手に暫く佇んでいた俺……。
「あ?よっちゃーん?そこで何してんの??」
後から登校してきた潤にそう突っ込まれてしまった。
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